+++ 雪の上の金貨 Ⅱ +++


アベルの仕事は木こりでしたが、使用人の彼が多くのお金をもらえるわけもなく、毎日の生活は苦しいものでした。


それでもアベルは一生懸命働き、お墓にお供え物をして、その日の出来事を伝える日課を欠かしませんでした。


そんなある日、お墓に続く道に、今まで気づかなかったのか、小さな一軒の家がありました。


アベルは不思議に思い眺めていると、家の中から女性が出てきました。


アベルは、その女性を見て驚きを隠せませんでした。


彼女の顔は、墓の前で見つけた金貨に刻印されていた女性、そのものだったからです。


彼女はアベルに優しく微笑んでくれました。


アベルはこの時、この女性が僕が愛すべき人だと確信したのです。


アベルは、彼女の家を訪ねるようになりました。


お花を買って彼女を訪ねると、彼女は優しく微笑んでくれるのです。


アベルは彼女の笑顔を見たくて、昨日よりも多くの花を、もっと高価なものをと思うようになりました。


        +++ つづく +++