「やっぱり、この物件いいわよね~。何より立地条件がいいし、5階っていう高さもちょうどいいと思うの。周りの環境もいいから子育には最高だと思うんだけれど。外からのアクセスも、遮るものがなくて文句なしだし。ねぇあなた、ここに決めない?」
「そうだなぁ、もうここに見に来て3度目だけど、やっぱりいいね。これ以上の物件はほかに思い当たらないよ。じゃあここに決めようか。」
「ね!そうしま・・」
「あっ!!」
「きゃあっ!!」
バサバサバサッ。
「まったくもう!あの鳩たちっ!」
「どうしたの?」
「毎日この時間にベランダに二羽で来て糞を落としていくの。掃除しなくちゃ。」
「はは~ん、多分“つがい”だよ。うちのベランダに巣作りしようとしてるんだよ、きっと。」
「明日もまた来たら、絶対に追い払わなくちゃ。」
「そうだね、巣を組まれちゃったら困るもんね。」
「あーもう!あの人間たち、あれだけがこの物件のネックよね。」
「僕たちがここに来るとかならず窓を開けて脅かすね、あの人。」
「そうなの!いいじゃないね、少しくらい場所貸してくれても。こんな最高の物件ないのに。」
「そうなんだよなぁ、この5階っていう高さも最高なんだよ。巣を組むための枝や、雛に餌を運んでくるのにもちょうどいい高さなんだよな。そういえば、ここに来るとよく、窓から全身毛に覆われて耳がとがった生き物がすごいキラキラした目で僕たちのこと見てるよね、あれ何だろうね。」
「あれは多分猫よ。でも、ベランダに出ているのを見たことがないわ。多分その点に関しては問題ないと思うの。で、どうしよっか、この物件。あたしは多少のリスクがあっても諦めたくないな。」
「ぼくもだよ。また最初から家探ししてたら、卵が生まれるまでに間に合わないぜ。」
「じゃ、こうしない?明日またここに来てみよう。それで、あの人間に気づかれなかったらここに決めちゃいましょうよ。」
「そうだな。巣を作って卵産んじまえばもうこっちのもんだよな。撤去しようなんてむごいことするわけ無いよ。」
という運びで(おそらく)、以前住んでいたマンションの5階のベランダに巣を組まれたことがある。
今回も、また鳩の夫婦に同じようなターゲットにされている、間違いなく。