小説 if.. Vo.Ⅶ | AzyuがAzyuで在る為に

小説 if.. Vo.Ⅶ

勉強していた手を止めて深いため息をつく。

あの時もっとちゃんと話し合っていれば、卒業の時に二人はもっと違う時間を過ごしていたかもしれない。
私がもっとちゃんとしていたら…
そんな事ばかりが頭の中をぐるぐる、ぐるぐると回っていた。







  2001年 8月









夏休みも半分が過ぎ、補修が始まった。
私の中学では、期末テストの結果が良くなかった三年生は、夏休みの間も登校して補修を受けなければいけなかった。
その恐怖の補修が遂に始まったのだ。



蒸し暑い空気と照り付ける太陽にイライラしながら、夏休みなのに制服に身を包む。


『あっちぃ…マヂ無理』


虚しい独り言を呟きながら学校までの道のりをトボトボと歩く。
学校につくと速攻で職員室に向かった。
癒しの空間…クーラーを目指して。



『あぁ!!マヂ天国!!♪生き返る~♪』


持っていたタオルでパタパタと風を起こしながらソファでくつろいでいると、怪しい笑みを浮かべながら真歩ちゃんが近付いてきた。 
暑さも吹っ飛び自然とテンションも上がる


『よぉ!真歩じゃん☆私に会えなくて寂しかった?』 

『はぁ??あんたが来るのはココじゃないでしょ!しかも呼び捨て?笑』


『まぁいいじゃん♪今日の先生って真歩ちゃん?』
 

『あら、何か不満でも?』

その言葉に私のテンションは更に高くなった


『イェッス!!ラッキィ☆』

私ゎその場で思いっきりガッツポーズをした。


『はいはい、嬉しいのは良くわかったから!もう行くよ!笑』


呆れた顔で、でも優しい笑顔で私の手を引いてソファから立ち上がらせようとする真歩。



素直に可愛いと思った。



誰も居ないのをイイ事に、私は真歩の手を思いきり自分の方に引き寄せた


『ちょっ…!!』


ドザッ


軽く抱き合う様な体制になった真歩の身体に手を回し、耳元に向かって小さな声で囁いた


『真歩ちゃんだぁ~いすき♪』


真歩は慌てて私から離れると顔を赤くしながら私を見た。
そんな真歩に対してニカッと笑い、髪を優しく撫でたあと、教室に向かって走り出した。 


『おっ先~♪♪』


真歩はスネタ子供みたいな顔で私を見送っていた。



教室に入ると、私の他にも何人かの生徒がいた。
クラスも違うし、話したことない人達ばっかりで、明らかに種族が違う。
どう見ても、あんた期末悪くなかったでしょ?みたいなマヂメちゃんばっかり… 

さっきまでのテンションも一気に下がり、やっぱりこんなとこで勉強なんて…とゆう気持になった。
教師の真ん中でUターンして帰ろうとした時、教師のドアが開いた



ガラガラ



『さ!初めましょうかね』

さっきとは全然違う教師の顔をして真歩は現れた。


『はい!瀬名も早く座って座って♪』


半ば強引に誰の席かもわからない場所に座らされた。そして、真歩は一人一人に1枚ずつプリントを配って回った。


『今日はこれを完璧に覚えて帰ってください』

さっそくのブーイング。
当たり前だ。
そのたった一枚のプリントに書かれてある問題はなんと50問。しかも何故か全て数学…


『はい!初めて!分からない所は聞いてください!』


キビキビとした教師っぷりで皆をまとめていく。
そんな真歩をただじっと見つめていた。


『瀬名?どーした?』


『いや、べ~つに♪』


可愛いなぁと思って♪なんて皆の前では、口が裂けてもいえない。
そんな気持から私がハニカミながら答えると、真歩が近付いてきた
思わず姿勢が良くなる


『何か分からない?』

真歩が指を指した所を見るとうっすらと何か書いてある。驚いて真歩の顔を見ると口パクで

"あわせて"

と言ってきた
はっとして言葉を探す



『あ…えっと…ここ?』


真歩が何をしたいのか大体わかってきた。


『ココは、二次方程式を使うから、こうやってこう』

そう言いながら真歩が書いたのは数字ではなく○で囲んだ横に

"ココをよくみて!"

とゆう文字だった。
やっぱりと言わんばかりに真歩の顔を見上げると、


『It's good☆』


そう言ってにっこり笑い、もとの場所へと戻って行ってしまった。

私はプリントのその場所に顔を近付けて書いてある文字を見つめた。



そこには



『終わったら時間ある?話したいことがあるの』


とだけ書かれていた。
私の心臓は、マラソンをするよりも早く動いた
真歩の方を見ると、また口パクで何か言っている…

だけど、何で言っているのかがわからない。
3回ぐらいやりとりした後、真歩はしびれを切らしてしまった。
軽くため息をついて、またスネタ子供みたいな顔で見つめてくる。


私は真歩の顔を見つめたまま声にした


『先生わかりません』


真歩の顔は、キョトンとした顔に変わり、慌てて私の席にきた
プリントとペンが二人の声がわり。


『ここなんですけど…』

"何て言ったん?"

『だから、それは…』

"大丈夫?"

『あーね!わかった☆』


真歩は少し呆れた顔でその場を離れた。
私の答えはもちろんYes


私は胸元で皆に見えないように小さく○を作った。
真歩はそれを見て嬉しそうに笑っていた。