高梁市(岡山県)の中心部からだいぶ山の中に入ったところに吹屋の町並みがあります。ここは昔銅山として栄え、またベンガラの生産地としても栄えて町並みが造られました。銅の生産とともに発展した良質のベンガラの生産は昭和40年頃まで続けられたと言います。ベンガラは酸化鉄の赤い顔料で陶磁器や漆器、家屋や船舶の塗料として広範囲に利用されました。

 

 吹屋には赤い石州瓦に白壁と格子の家が並んでいますが、一部には赤い土壁に赤い格子といった家が並んで、まさにベンガラの生産地らしい赤い町並みとなっていました。

 

 

 

 

 

 

 自動車と広い道路のある現在でも吹屋はずいぶん山の中だと感じるのですが、くねくねと登り下りする細い道を牛馬と人が行き交いした昔、こんな山の中に多くの人が集まった生活があったことが信じられない思いです。

 

 昔は高梁川とその支流成羽川の舟運を利用して瀬戸内海の海上輸送に、時代が下がると鉄道に結びついていたのでしょう。

 

 

 

 

 

 現在の家々は江戸時代の末から明治の初めに建てられたものが多いそうですが、写真上の郷土館になっている家は1879 明治12年の建築で、下の片山家はベンガラの窯元で明治直前の慶應年間の建築で国の重要文化財になっています。

 

 町並みは1977 昭和52年に重要伝統的建造物群保存地区(町並み保存)に指定され、土地の人たちが町おこしに努力しています。下の写真の説明板が簡にして要を得ていますのでご覧ください。