東大寺正倉院の東に建つ転害門(国宝)の前を北に向かう道が奈良坂で、坂の上には般若寺が建っています。坂の上から東大寺の方に下りていくと坂道には当然のことながら当世風の家が並んでいますが、それでも所々に昔風の家が残っていました。

 

  2階の軒が低く1階が格子の造りはたぶん江戸時代の建物で、この時代には建物の高さに制約がありました。上の写真のように2階の漆喰の窓枠のデザインを同じにしない繊細な感覚には驚きます。

 

 

 

 

 

  家を建替えて造った新しい塀に鬼瓦が一つ貼ってありました。瓦は造りが素朴で欠けてるところもあります。取壊した古い家の思い出のためでしょうか。

 

 

 

 

 

 

  坂を下りきって道が広くなっても昔風の家がありました。3軒がつながっています。どの家も1階はだいぶ改造されていますがおそらく右の2軒は明治以降に建てられたのでしょう。

 

  左の2軒の屋根の部分を拡大してみると、中央の家の屋根が微妙にカーブしているのが分かります。外観が柔らかくなり、2階に入ると屋根裏の圧迫感が和らぐのです。京都をはじめ町の民家に見られる工夫です。

 

  昔はこの通りにはこうした昔の造りの商家が建ち並んでいたとこの土地の人が言っていました。