神田恭兵さんの、新しいご出演作。イッツフォーリーズの人気作品「遠ざかるネバーランド」を、渋谷真紀子さんが演出されるということで、絶対に素敵な作品になると、ワクワク観に行きました。
渋谷真紀子さんは、2019年に『オリヴァー・ツイスト』で私が衝撃的に神田さん(ドジャー)に出逢ってから、次のご出演作ということで伺った、あの素敵な朗読ミュージカル、『星の王子さま』の脚本・演出家です。とても素敵な上質な作品を創る方だと感じています。
2019年朗読ミュージカル『星の王子さま』@JZ Brat SOUND OF TOKYO
そこに、この素敵なビジュアルとキャストの皆さんのコメント。
日々の神田さんや、カンパニーの皆さんからの手ごたえを感じているツイート。期待が高まります。
https://natalie.mu/stage/news/467616
「ダークファンタジー」って、何なんだろう。
観てみるまで、よくわかりませんでした。でも、観たらなるほど、と腑に落ちました。
ファンタジーなんだけれど、非現実の夢物語じゃない。人の持つ、日頃目を背けているダークな面を舞台上でみせる。
だから、観ているのは華麗にひらり、ひらりと踊る甘いマスクの工藤広夢さんピーターパンなのに、いつも美しい佇まいで震える怖さを魅せる川原一馬さんフック船長なのに、そしてなんだか憎めない体育会系イケメン海賊フォガーテ(青柳塁斗さん)やキラキラな人魚のビスカ(杉尾優香さん)なのに、とてもリアルでシリアスで、現実的に心に刺さってくる。
そして、ダークなんだけれど、残酷じゃない。むしろ、この世で生きる人への温かい眼差しに満ちている。それを、等身大の神田恭兵さんが「少年」という役で体現しています。それから、素敵なティンカーベルの藤森裕美さんが。
観終えた私は、いつの間にか大人になってしまって、若い人の抱える寂しさ、苦しさつらさのことを忘れていた自分の「やさしくなさ」に気づいて、すごく反省しました。日頃、子どもたちが訴えるいろいろな不満や要求を、もっとちゃんと聞いてあげなきゃと思った。そのために必要なことは。。。
最後まで歌わない、神田さん「少年」が歌う時の説得力。でもその歌は音楽ではなく、叫びのように緊張感を持って私の心に届いてきて、最後の台詞につながった。最後の台詞の、二言目の「少年」の言葉が大好きで、それこそが私たちが誰かに寄り添う時の秘訣かなと思えて。
ダークファンタジー。私にとっての、新領域。頭も心も空っぽな状態で観に行ったけれど、観ながらぐるぐるぐるぐる、いろいろなことを考えていました。見終えて帰り道、動悸が止まりませんでした。きっとそれぞれの年齢で、立場で、いろいろなことを感じ受け取れる作品だと思います。
今日4/23からは、俳優座公演。毎公演進化していく物語り。私自身もまだまだ観ていろいろ考えたいし、子どもが観たら、どんなふうに感じるんだろうとそれもとても楽しみです。
観て楽しんで、心を動かして、何かを感じて考えて。そのことを自分の暮らしに持ち帰る。よりよく生きる、きっかけや支えになる。そうやって、人生を豊かにしてくれるのが私にとって観劇で、舞台芸術で、届けてくださる皆さんには感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。
★次の(完結編)には、ネタバレありで千秋楽後の感想を書いています。よろしければ、そちらも是非。
Musical Theater Japanさんの、素敵な記事。こちらも是非。『遠ざかるネバーランド』神田恭兵・青柳塁斗・川原一馬に訊く、“ダークファンタジー”の醍醐味