あずさの時々観劇レポ

あずさの時々観劇レポ

大人になってからのミュージカルファン。神田恭兵さん、中井智彦さんのファンです。どうしても書き溜めておかないとと思った舞台の観劇レポを時々綴ります。

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 毎年3回ぐらい、マンスリーに開催される中井さんのゲストを迎えるトーク&ライブシリーズ、uta & friends。今年の第1弾は、エレクトーン奏者の神田将さんでした。私の知る限り、多分uta & friends史上初の、歌わない(歌手でない)ゲスト。でも、2020年秋に開催された豊洲での中原中也の一人舞台以来、中井さんと共鳴する偉大な芸術家でいらっしゃることがすごく伝わり、私的に実は一番楽しみにしていた今年の第1弾uta & friendsでした。




 

 いつものオープニング、ララバイ オブ ブロードウェイで始まり、My Favorite Thingsに続いて今月末の新作コンセプトライブ、ワタシノコトから、新作オリジナル曲の「尊き世界」を長濱さんの伴奏で歌って、早速どっぷりと中井さんの世界に。3曲目は、神田さんをお迎えする「下地」としてオペラ座の怪人からAll I Ask of Youを。続いて、神田さんご登場から、一言も発さずにまずは1曲。これもウタフレンズ恒例のやり方です。それが、「オペラ座の怪人」でした。豊洲で初めてお聴きして、鼓動が止まらなかった神田さんの「オペラ座の怪人」、今日はショートバージョンでしたが、それでもいつ聴いても心拍数が上がるすごい演奏です。

 1部はこのあと、恒例ナカペディアコーナーへ。今日はナカペディアと言いつつ、中井さんが知りたいことを神田さんにどんどん質問するコーナーで、とても充実していました。お2人の最初の共演は2019年、中原中也の舞台をご一緒して、お2人ともすっかりお互いをわかり合っているものの、実は共演歴はまだそれほど多くなく、今日で4回目か5回目とのことでした。

 神田さんは1歳の頃からピアノやオルガンに触れ、類まれなる音楽の才能をお持ちで、かつプロの演奏家としてとても真摯にストイックに音楽に向き合ってきた方と理解しました。

 1部最後に1曲、いきなりすごい曲が来ました。中井さんのEP収蔵のあの疾走感のある名曲、「翼をください」を、神田さんのエレクトーンと長濱さんのピアノで中井さんが歌う。JZ Bratの大きくはない、客席ともフラットなステージに、下手にピアノ、上手に神田さんのエレクトーン、中央で中井さんが歌う「翼をください」は、力のある大きな翼を両翼に、伸びやかで宇宙まで飛んで行けそうな壮大で、自由で、爽快なダイナミックな曲に感じられました。この曲も、聞いていて心拍が上がりました。もはやあの物悲しい「翼をください」ではなかった。

 あっという間に、でもすごい曲の余韻を残して終わった1部のあと、15分の休憩を挟んでの2部は3人での登場からのラ・ラ・ランド。中井さんのピアノで始まり、ショルキーに持ち替え、最後は歌うという大活躍でした。続いて、質問コーナー。私は神田さんの「神田さんの演奏やお話に感じる、すべてを操るかのような支配力は天性のものですか。それとも、努力の賜物ですか?」という勝手な質問をさせていただきました。神田さんのお答えは、天性では、ないですね。だから努力かもしれません、とのこと。共演者や(神田さんが舞台監督のお立場の時などは)出演者が本人の力を一番出せるように配慮する、信頼して任せる、そして必要なところでそっと後ろから背中を押す、とおっしゃっていました。中井さんはやりたいことが明確なので、いつもとても合わせやすい、とも。客席からみて、演奏をお聞きする限りでは劇場空間を掌握しているかのように感じられる神田さんの演奏は、中心に立つ歌い手の中井さんからみるととても繊細に全てを吸収して寄り添ってくれるように感じられるそうで、それは神田さんご自身の意図そのものであって、その結果が凄いパフォーマンスとして客席に届く、ということのようです。神田さんは常に、自分が何を弾きたいとか、どうしたいというよりもお客様が求めるものを考える、という意識でいらっしゃるとのこと。「支配力」と見えた力のからくりは、意外なところにありました。

 「共演者を信頼して力を出せるように。うまくいかなかった場合の責任はとる」というお話に、中井さんがそれは中井さんの敬愛する演出家、ジョン・ケアードと同じだと言葉を継いでいました。

 質問コーナーのあと、神田さん、長濱さんとの「愛せぬならば」、これも贅沢でした。拍手が止まらなかった。神田さんからのリクエストで中井さん初めての「エビータタンゴ」。ストレートに情熱的なラテンの愛の歌って、確かに中井さん珍しいかもと思いました。続いて、神田さんと中井さんで創り上げた中原中也の「サーカス」、「幻影」の2曲を。そして長濱さんと3人でCHESSのAnthemをまた2台の両翼で中井さんが歌い、アンコールに「糸」。これは中井さんのために神田さんが編曲してくださった「糸」だそうで、いつものウタフレンズのゲストと2人で歌うこの曲とは、まったくイメージが違っていました。この曲のもつ温かさ、やさしさはそのままに、より情熱的で雄大な曲になっていました。「会うべき糸に出逢えることを 人は幸せと呼びます」、「織りなす布はいつか誰かを温め得るかもしれない」。中井さんは中井さんの藝術を求めて、自由自在にいろいろな人と出会い、壮大な布を織ってたくさんの人を温めて、幸せをたくさん創っている。そんなふうに、今日はこの曲を感じられました。歌い手は中井さん1人なのに、神田さんの編曲で歌う中井さんの「糸」からは、神田さんのメッセージも力強く伝わり、そこにしっかり参加している長濱さんも完ぺきで存在感あり、どの曲もこの贅沢な2台の演奏をバックに歌う中井さんは、本当に力強く自由でエネルギーに満ちていました。本当に贅沢なウタフレンズ。今日は参加できて、幸せでした。

 



(ベルベットのように滑らかな中に冷静さと情熱を併せ持つ神田さんをイメージしたという中井さん作のオリジナルカクテル。光の当たり具合により、赤や黒や青に見える不思議なカクテルでした)