この監督が関わるならとか、この脚本家が書くならとか、この俳優が出るならとか、という様なドラマ・映画作品の選定ポイントが各人あると思う。


例えば僕は割と監督で観る映画を決める勢で、「バービー」のグレタ・ガーウィグ監督の作品は心待ちにしているし、ジェームズ・ガン監督やルッソ兄弟の監督やピクサー作品も楽しみにしているのである。

ただコロナ禍が挟んでからあんまりしっかり映画情報を追っていないので、作品を決めるのはアカデミー賞作品賞とか脚色賞をポイントにしている気がする。


今年のアカデミー賞はオッペンハイマーが席巻したけども、その他の作品も複数部門ノミネートされた有力候補が沢山あった。


「ゴジラ‐1.0」なんかその最たるものであるし、バービーも部門によっては強い作品だった(主演女優ノミネートはともかく、もうちょっと他のところでアカデミーは評価しても良かったんじゃないかと思うがあれだけ全方位に冷や水ぶっかけて、温かいコーヒーを出す様な作品を理解出来ない、いやしたくない層も多かったんだろうと思う)。


そして今回僕が観てきた「ホールドオーバーズ」もそういう作品で、主演男優・助演女優・作品・脚本賞と結構大きな部門にノミネートされている作品である。


出演したダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を見事に獲得したこの作品、僕が観ると決めているアレクサンダー・ペイン監督の新作である。

この監督の作品、結構深刻な設定が多いのだが、そのクセに映像も演出も何だかカラッとしていてクドクドしないのが面白いのである。


家族を捨てた天涯孤独の中年の寄宿制高校の歴史教師、ベトナム戦争で一人息子を亡くした寄宿制高校の料理長、成績は良いけども性格が終わっている優等生という三人が、冬休みに学校に残らされる羽目になるという、大きなドラマにならなそうなあらすじの本作の何が良いかと言われると、みんなごくごく自然な演技をしている事だろう。

正直に言って、アレクサンダー・ペイン監督の作品自体が好みの分かれるものだ。

でもその自然さと静かかというか独特の温度の低さが、登場人物の背負った重みとか傷をより際立たせる。

ボロボロ泣く様な感じではないけども、観て損はない一作である。



 

 



 

 



 

 


 

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Ameba映画部