正しく負ける、変な表現だけどもこういう概念は確かに存在している。
そして逆説的に、正しい勝利というのもある。
この辺の感覚は、僕は田中芳樹先生の「銀河英雄伝説」で学んだ気がする。
物凄く乱暴にあの作品をまとめると、民主主義陣営と専制主義陣営という二つの陣営がずーっと対立している訳だが、絶滅戦争をやっている訳ではなくて、お互いがそれぞれの条件を聞かせる為の戦争をしている訳である。
各々の陣営の勝利条件が存在しているのだが、これはフィクションだからそう設定出来たものなんじゃないかと今更ながら思う。
現実の戦争は簡単に状況が変わる。
だから最初の勝利条件、というか戦争の当初の目的自体を最初に引鉄を引いた側が忘れてしまいやすいのである。
エラそーに何の話をしているのかというと、当然ながらウクライナ戦争の事である。
始めた側のロシアは始めた理由や勝利条件が分からなくなっている。
一方でウクライナは、ロシアに実効支配をされているクリミア半島を奪還して押し返すという明確な勝利条件がある。
あとはプーチン政権の退任、または首かな
先週末スイスのリゾート地・ビュルゲンシュトックではウクライナ平和サミットが開催されていた。
これはウクライナ側の和平案を主要国とウクライナが議論するもので、ロシア・中国は当然ながら御呼ばれしていないのだが、グローバルサウスからもインドや南アフリカ、サウジアラビアなどが参加している。
このサミット、当然ながらウクライナの領土保全を支持する共同声明を採択して終了した。
この声明には、ロシアの支配下にあるザポリージャ原発のウクライナへの返還、ロシア人捕虜とロシアに誘拐されたウクライナの子供の返還が盛り込まれている。
この二つ、いつの時代の悪役のクソムーブだとしか思えないのだがマジでやっているあたり、ロシアのこの戦争に対する姿勢はまあ伺しれると言える。
もう既に勝利条件が達成できないので、時代錯誤な嫌がらせクソムーブには走っているのだが、そこで消費しているリソースの事を考えるとアホ極まりないのだが。
この声明は全会一致で採択されている訳ではない。
ロシアと仲良しの南アフリカがそんな事出来る訳ないからね。
ただこうしてあちこちの国がこのアホな戦争に注視しているという事が重要な訳である。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍がウクライナ領から撤退したら即日停戦交渉を開始するとの意思を示した。
勿論こんな事はあり得ないから言っているんだけども、明確な勝利条件があるところとそうじゃないことじゃ、どっちが戦争の終結を現実的に見据えているかは明らかだ。
正しい敗北って、詰んでいる状況でも全部むしり取られない様に立ち回る事なんだけどね。

