去年の徹子の部屋で、タモリさんが「新しい戦前になる」と2023年の事を評したそうだ。 

伝聞系なのは僕はその放送を観て無いのであるが、その指摘は的を射たものであったと思わざるを得ない。


ウクライナ戦争の膠着化、明らかに台湾併合を意識した中国人民解放軍と北朝鮮・金王朝のクソムーブの数々、更にはハマスによるイスラエルへのテロと、その報復を名目としたガザ地区での民族浄化は、どれも第三次世界大戦への火種と評するだけでは足りないぐらいのリスクファクターと言える。


そんな緊迫した政治情勢が少なからず映画にも影響している様な気配がしないでもない。

「バービー」は今現在アメリカで行われている文化闘争を、グレタ・ガーウィグ監督が全方位に氷水をブッカケながらも、温かいコーヒーを配る様な細やかな配慮で描いたものだし(コレに文句言うヤツは観て無いか、観て理解する知性がないかだ)、「オッペンハイマー」なんてド直球の戦争とその周辺を描いた映画だ。

それから「ミッション:インポッシブル デッドレコニング」もAIの軍事利用の話だと言える。


これは日本でも似たような様相を呈していて、「窓ぎわのトットちゃん」は子供の視点から観た戦争であり、「ゴジラ-1.0」と「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は、敗戦後の閉塞した社会を描いた作品である。


この邦画の三作、僕はマジでノーマークだった。

でもいずれも高評価なので、一端の映画通を気取る僕としては観ない訳にはいかない。

「ゴジラ-1.0」はアカデミー賞を始めとした様々な海外の賞レースに殴り込みを掛けているので、まだ暫く公開猶予はあるだろう。

窓ぎわのトットちゃんもロングテール公開になるだろうから、まあ平気じゃろうと判断。

という訳で、一番公開猶予が怪しいと判断した「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を観に行く事にしたのである。


結果として「ゲ謎」、素晴らしい作品だった。

ただ例によって前置きが長いので、とりあえずネタバレなしでの感想はまた明日に。