静嘉堂文庫美術館は三菱財閥の二代目総帥・岩崎弥之助とその子息で四代目総帥・岩崎小弥太のコレクションを展示している美術館である。

静嘉堂文庫というのもまた別にあって、そちらは世田谷にある国内外の古典籍を研究者向けに公開している私設図書館という事だ。

もともとはその静嘉堂文庫と並ぶ形で世田谷に美術館もあったようなのだが、2022年10月に現在の丸の内に移転されている。

だから静嘉堂@丸の内という異名があるのである。

それと最近移転してきたのならば、場所についてもノーマークでも仕方がない。

丸の内には、この静嘉堂文庫美術館と三菱一号館美術館という三菱財閥ゆかりの美術館が並び建つ事になった。

三菱一号館美術館は来年秋まで改装休館になるのだが、何だか結構数奇な運命を辿っていると言える。


さて今回訪れた「サムライのおしゃれ」展の目玉展示は、ヴィクトリア女王から下賜されたサーベルである。 


これは岩崎弥之助の義父である後藤象二郎が、明治天皇に謁見する為に京都御所へ向うイギリス公司ハリー・パークス一行が、攘夷派に襲撃された際に下手人を撃退した功績を称えて贈られたものである。 

超絶に幕末って物騒だったのを改めて実感する。


このサーベルが後藤象二郎のもとに来るのにも結構紆余曲折あり、更には色々あって娘婿のところに収蔵される事になった訳である。

非常に美しい装飾が施されたサーベルで美術品としての性格が強い。
ただ刀身のメンテナンスは何となく日本刀的なそれが行われている感じだった。
このサーベルに関しては撮影可能エリアにある為、撮影に自信のある方は是非ともカッコよく撮って頂けたらと思う。

今回の展示品で多かったのは、印籠である。
あの水戸光圀公がドーンと出すアレである。
本来は常備薬を携帯する、今で言うピルケースの役割を担っていたのであるが、次第に家紋や様々な装飾をあしらう美術品としての側面が強くなった。
そして偉い人達が競う様に職人を囲う様になったのである。
確かに蒔絵や金属細工、螺鈿という貝殻を用いた装飾は実用性よりも見映え重視感がある。


ただ人によっては、ゲーミングLEDライトを想像する人もいるかも。


逆を言うと、ゲーミングPCのあのイルミネーションは日本人とって結構親近感のあるものなのかもしれない、多分恐らくは。

そんなテキトーな事をぬかしながらも、印籠の様な細かい美術品をじっくり観る機会というのはそうそう無い。
何よりも、建物の中に建物があるという変な構造と、曜変天目茶碗、そして静嘉堂文庫美術館のレトロで粋な造りは観る機会をぜひ作って頂ければと思うぐらいに素晴らしい。
ついでに言うと、曜変天目茶碗といい、螺鈿細工といい、静嘉堂文庫美術館のキュレーターの方は構造色が好きなんだろうなと勝手に思う事にするのである。