なんともありそうな話である。
インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、2億7000万の人口のうちの88%がイスラム教徒である。
だからインドネシアの人に豚骨ラーメンは薦めちゃいけないのである。
とはいえども、それほどイスラム教国家のイメージが無いのは第二次世界大戦後の独立時に国教を敢えて定めずに多様な宗教がある事を容認した為である。
そして国是として、寛容性の尊重と多様性中の統一を取り入れて国民を纏めて来た訳である。
ただこうした国是は、この近年は重視され無い状況になっている。
というのも現任のジョコ大統領は二期目の政権を担う為にインドネシア内のイスラム教保守派に大幅な譲歩をしたからである。
具体的に言うと、この保守派の重鎮であるマルーフ・アミンを自身の政権の副大統領として迎え入れたのだ。
にも関わらず、自身は中国共産党と懇意にしていたのでまあなんとも忙しい事である。
もっとも現在は高速鉄道問題やコロナ禍で疎遠になっているようではあるが。
閑話休題、現在のインドネシア社会はイスラム教、とりわけ保守派の声の強い社会になっているのは事実である。
そんな中でインドネシア・ウラマー評議会の上級委員であるアフマド・ザインが、インドネシア最大のイスラム過激派テロ組織であるジェマ・イスラミアの資金調達に関連した容疑で逮捕されている。
ウラマーというと聞覚えの無い方も多いであろうが、これはイスラム法学者を指す。
この連中がコーランや教義の解釈をああだこうだ捏ねくり回して、イスラム世界の社会秩序を決めているのである。
もちろん善良な常識人で敬虔なイスラム教徒の方も多いだろうが、こうしたアフマド・ザインの様な例外もいるのである。
イスラム教世界の一番の問題を外様が敢えて指摘させて頂くなら、あちこちで権威が乱立している事だ。
この事はいずれお話しさせて頂くとして、ポピュリストとしての色が強いジョコ政権には、票の欲しさの為に組んだ連中からテロ組織に通じる者が出てきた事は、国内は弾圧出来るから問題は無いだろうけども、対外的にはとてつもなく重い問題である。
まあ、権威やら権力が腐敗するのは何処の世界でも変わらない。
そしてこうした宗教的権威が裏では過激派を養い操るという構造は、イランがまさにこの典型例であるし、きっとビンラディンもその構造の一部だったはずである。
こうしたイスラム世界の歪みに光を当てる意味でも、この事件は重要で裏にいる連中を絶対に逃してはいけないのだ。