どこの国でもジェントリフィケーションによる家賃上昇は大きな問題である。
アメリカは全土でこの問題に苦しめられているし、イギリスやEU圏内もそうである。
日本ではこの名前で呼ばれてはいないだろうけども、バブル期からこの傾向があった。
日本は資本主義が起こすしょうもない問題のパイオニアなので、EUやアメリカはそこから予習をすべきなのだが、人はやはり歴史に学べないものである。
ただこうした流れにドイツ・ベルリン市民は明確にケンカを売った様だ。
先月末のドイツ連邦議会選挙では、中道左派である社会民主党と環境政党である緑の党が躍進している。
となると政権運営もやや革新的な要素を含む状況になると思われる訳である。
そしてこの選挙の裏側では、ドイツの首都であるベルリンである市民投票が行われていた。
その内容とは、3000戸以上のアパートユニットを持つ不動産会社の物件をベルリン市が収用するという条例案についてである。
恥ずかしながら「収用」という言葉に聞き覚えが無かったのでちょっと調べてみたのだが、つまるところある程度以上の規模の不動産会社の持つ物件を市が管理するという事だ。
割と共産主義的と謗られても仕方無い様なとんでもない条例案であるが、賛成56.4%、反対39.0%で可決された。
この事実はそれだけ家賃がベルリン市民にとって大きな負担になっているかを示すものといえる。
この条例案が出されるまで様々なプロセスがあったのだが、これは上記の記事を読んで頂くとしてこれだけのムーブメントになった事について考えないといけない。
ここに行き着くまでベルリン市民は様々な策や現実的な条例の運用案を提示しているのだが、ここまでせざるを得ない位に賃貸を始めとした不動産の運用・管理が金融業界による投機化によって歪んでいるという事である。
このベルリンの人達が金融業界や不動産業界に売ったケンカがどんな結果を及ぼすのかはさっぱり解らないけども、今回与党となったショルツ財務相率いる社会民主党にとっては腕の見せ所であるし、ショルツ財務相にとっては頭の痛い問題であ
る。
ショルツ財務相は金融業界を熟知している事は以前お話しさせて頂いたが、彼はこうした投機を煽る側の人間である。
もし格差について左派として社会民主党が思うところがあるのなら、この問題について肩入れせざるを得ないであろう。
ただシュルツ本人としては何としても潰したいムーブメントだろうしね。
少なくともベルリンという一都市の問題では終わらない話だし、そうならない事を祈りたいものである。