僕はドナルド・トランプが神格化される様な素晴らしい政治家であったとはつゆにも思わない。
だけども政治家や国家元首がその国の国民の姿を映す鏡であるならば、まさにドナルド・トランプ前大統領はアメリカ社会の分断の象徴であると言えよう。
このファイナンシャル・タイムズのコラムでは、アメリカの民主主義が不可解な死を迎えているとして、共和党=トランプ党となっている現状に対して警鐘を鳴らしている。
ジョージ・W・ブッシュ元大統領のスピーチライターであったデビッド・フラムの言によると、「政治権力を要求する群衆による暴力の正当化をいとわない大規模な国民運動などというものは2020年以前のアメリカには存在しなかったのに、現在は存在する」という事である。
中々に鋭い指摘であり、とてもブッシュ元大統領のスピーチライターで共和党の縁者とは思えない辛辣な評価である。
実際に今年の連邦議会議事堂襲撃事件はメチャクチャさ加減では、犠牲者の方にはとても失礼ではあるけども9.11同時多発テロ並であったのではないだろうか。
そしてあまりにも荒唐無稽な光景を人間の脳はどこかで認識を拒むものである。
閑話休題、このコラムが指摘する様に現在の共和党はもはや保守派でさえなくなっている。
このような、文中でも指摘があるがハンガリーのオルバン政権と与党であるフィデス=ハンガリー市民同盟の様な関係性の反動的な政党に変貌したのは、もはや岩盤支持層であるアメリカの白人がマジョリティでは無くなっているアメリカの人口動体とそうした人達のポリティカルコレクトネス疲れの受け皿になっているからだ。
最高裁では保守派が優位を握っており、議会でも民主党が優位とは言えない状況で、駄目押しの一手として共和党はさらなる反動化にひた走る。
各地でメチャクチャな法制を敷き、コロナ禍からの雇用創出の為の予算案にも強硬姿勢を崩さない等、まるで現実を見ない事が強さだと言わんばかりに。
ただこう混迷した世界情勢では、蛮勇とも呼べる愚行が意義ある様に思えるのだろう。
まるで原始共産制に回帰する中国共産党の様に、共和党はアメリカを西部劇の様な世界に回帰させたいのであろう。
この共和党の権力と金と暴力が伴ったお笑いムーブがこうした事態を招く事がないとは思いたいものである。