もちろん、それだけ長い間要職に付いていた人の代わりを見つけるのは容易では無い。
目下のところ、ドイツの新首相候補は3人に絞られている。
メルケル首相と同じキリスト教民主同盟の党首でノルトライン・ヴェストファーレン州首相を務めたアーミン・ラシェット、社会民主党の現役財務相であるオーラフ・ショルツ、緑の党のアンナレーナ・ベーアボックである。
最初の二人は現在の連立与党から選出された候補であり経験豊富な政治家である、まあベーアボック女史よりは有力候補と目されていた。
だがそう上手く事は運ばない様で、このベテランのラシェットがまあ中々のポンコツの様でTVの党首討論では口喧嘩の様相を呈している。
ラシェットに関しては、上記のコラムにある様に右派であるがどちらかというと非現実的なという枕言葉が付く様だ。
環境問題に付いての関心がなく、増税の議論に関しては執拗に減税を主張する。
まあアメリカの共和党的な保守派と言える。
ベーアボックに関しては、環境政党で左派と言って良い。
彼女に関しては、経験不足と学歴詐称疑惑と税金の申告漏れが指摘されており、経験不足に関してはまあ多分に女性蔑視主義の要素を含むものだろうけども、学歴詐称に関してはロンドン・スクール・オブ・エコノミックスという経済の名門校出身らしいが、ここはドイツで使える弁護士資格は取得出来ない(でもちょっと調べて見たら弁護士って触れ込みで活動はしていない、という事はここに通っていた事自体が疑問符付いているのかな)、賞与の申告漏れはまあ言い訳の仕様がない。
かといえ最後に挙げる現役財務相であるショルツに関しては、恐らくこの御仁が一番のクセモノである。
ドイツではコメルツ銀行やドイツ銀行といったメガバンクの不祥事や粉飾が問題になっており、特にこの2つは経営的にも負債的にも危ういとされている。
こうしたメガバンクの不祥事を見逃したり、絡んだりしているのではと言われているのだ。
まあ何というか個性豊かな面々である。
メルケル首相もサッカードイツ代表に説教しに行ったり、キリスト教民主同盟という宗教色のある政党の党首でありながらも物理学の博士号を持つ才女であり、東独の牧師家庭出身であるという中々に設定の詰まった人である。
長い首相生活の中で難民政策や環境政策では致命的なやらかしもあったが、これもコロナ禍で強いリーダーシップを示す事で、人道を重んじる人が陥るご愛嬌として許されている、と僕は思う。
こうした善意故の過ちが出来るぐらいに、この候補者達が真剣に首相職に当たれるかどうかは解らない。
でも首相職を辞するに当たり、改めてメルケル首相の凄さを痛感させられる訳である。
なろう系主人公並の設定と言ったら失礼かもしれないけど、したたかさや笑いも持ち合せた強烈な方だったと思う。
政界を引退したら自分の地元のサッカークラブのゴール裏でコアサポーターやりそうと思いながらも、メルケル首相がそんな風な生活を送る為に後任の求められる事は多過ぎるのである。