実に賛否両論のある作品ではあるが、「竜とそばかすの姫」観てきたのである。
TOHOシネマズ、水曜日も一般作品なら安くしてくれているのはとても有り難い。
レディースデイをこんな感じで改変してくれるとは有り難いのである。
まあ、「閃光のハサウェイ」は対象外なのだけど。
閑話休題、細田守監督最新作「竜とそばかすの姫」、今のところ出足好調といったところだ。
公開二週間弱で24億円、この項を書いている段階では日本興業収入は第5位に付けている。
緊急事態宣言とは言え夏休みでどれだけ稼げるかだが、このペースで行くと「るろうに剣心 最終章 TheFinal」は射程圏といえるだろう。
ディズニー・マーベルの大作はの日本の興行収入には入ってこないので、日本の今年の興行収入はエヴァ・コナン・竜とそばかすの姫の並びになるのだろうか。
閑話休題、僕はこの作品の称賛される部分と批判される部分どっちもピンとくるのであるけど、もともと細田守監督は自分の描きたい事やシーンの為が先行する人なのである意味仕方ないのだろう。
でもサブというか脚本に奥寺佐渡子さんが入ってたらもっと無理が無かったのではないかとも思うけども。
ただこの作品、細田監督はインタビューにある様に自らの原点に立ち返り「美女と野獣」を自分なりにやってみたかったというのが今回の企画意図である 。
実際オマージュというか全く同じ構図もあり、それだけどうしても自分なりにやってみたかった事なんだろうというのはとても良く理解できた。
僕は悲しい事に映画館に行く前にすでにオチのネタバレを踏んでいたので(まさにネットの悪意である)、ある意味竜の正体を答え合わせしながら観ていたのだ。
そういうサスペンス要素のある作品であるので、結構内容に触れるのは気を遣うという事を書き始めて気が付くあたり我ながら見通しが甘い。
ただああこう言われてるラストシーン、おおよその指摘は正論だけどもあの展開にしないと細田監督のやりたい事と序盤の主人公の鈴の母親のシーンとの対比がブレるのだ。
実際のところ、あれは有っちゃいけない出来事であるけども、鈴が自分の母親がした行動とその想いも理解した上で自分がなすべき事と思う事を為すシーンなのある。
細田監督はどうしてもあのシーンを鈴と竜とクリオネと敵対者という最小構成でやりたかったのだ。
そうする事で鈴がリアルで歌えなくなる理由になるシーンが生きるのである。
よし、内容には抽象的にしか触れずに観た人には解る様にぼかせてるぞ。
細かいところ、例えば「U」内の描写とかガジェット的な話とかは書くとネタバレになるのときりがないので割愛するが、個人的には今回もというべきかみんなキャストの声が凄く合っていたように思う。
鈴役の中村佳穂さんは地声と歌声のギャップの無い人なので、こういうリアルとアバターという構図になる作品の主役としてはうってつけだったと思うし、合唱団のメンバーの皆さんは調べてみたらこれギャラかなり持ってかれるんじゃないですかと言わんばかりに豪華でそりゃ歌上手いに決まっている人達で驚愕したし、忍君役の成田凌さんは元爆破テロリストでスランプに悩んで親身になってくれた劇団の女優さんを妊娠させて糟糠の妻を捨てる様な脚本家とは思えない(役だぞ役)位、鈴の事を大事に思っている良い幼馴染だと思った、がだからこそ最後のシーンは若干残念なんだけどもね。
あと老け専のメガネっ娘のヒロちゃん、誰かと思ったら「YOASOBI」の人じゃないか。
あの凄く頭は切れるいい娘なのに適度にクズな感じが自然でよかったと思う。
あと鈴のお父さんの役所広司さんは鈴の背中を押す以外に目立たなかったけども「タタキにするか」は無駄にカッコよかったのである。
そして最後に竜役の佐藤健さんは声を作っていないときの地声が幼いのを上手く使った良いキャスティングだった。
最後にまとめさせて頂くと、鈴も竜も何かになりたくてもがいていた二人である。
半ば望まぬ形であのアバターを得て、ベルと竜を演じる事になった訳だけども、それは逃避でもあり、呪いでもあり、祝福でもあった訳だ。
そしてこの事件を通して、何者でも無いと思い悩んでいた彼らは自分と向き合い何者にでもなれるという事を知った。
この「竜とそばかすの姫」は何者でも無い者が起こした奇跡であるし、自分がなりたい者になる勇気についてのお話である。
確かに僕は非難されている理由も理解は出来るが、きっとラストシーンに向かう中でリアルは忙しく動いてて上手くいったと考えるのが正解だと思うし、どうあれ映像作品としての魅力を堪能してからこの作品の評価を決めて欲しいと思うのだ。
この僕の持って回った言い方が気になった方は是非劇場でご覧下さいな。
でも最後に付け加えると、武蔵小杉とか多摩川駅とかあの辺のイメージさらに下落しちゃうよね。
どういう意味かって観ればわかるさ。