まさかの復活劇である。
上記のコラムはイランのアハマディネジャド元大統領の復権についてのものである。
また中東諸国に対する偏見で恐縮であるが、イランにもまた僕は良いイメージが無い。
悪魔の歌翻訳者殺人事件のイメージやら名誉の殺人が日常化しているイメージがあるせいだ(無論僕のイメージですよ)。
そして上記のアハマディネジャド元大統領はこのイランの悪いイメージそのもので、狂信的な発言や核開発問題でも強行姿勢を繰り返していた御仁であった。
その後任であるロウハニ現イラン大統領の常識人っぷりと苦労人っぷりに、僕はとても共感と同情しているのだ。
さてイランの大統領職は対外的にはともかく、国内的には意外と不安定な立ち位置である。
あくまでイラン大統領は、イランの最高宗教指導者と最高評議会が許可した候補者から選挙で選ばれる。
この最高指導者は終身制であり、イラン国内のイスラム法学者から選ばれる仕組みになっている。
つまるところ途轍もなくイスラム法学者の権限が強く、政治の仕組みがブラックボックス化している国なのである。
国際ニュースをご覧になられてる方なら心当たりがあると思うが、ロウハニ大統領が経済制裁や核開発問題で欧米諸国と現状的な交渉を取り纏めようとすると、裏にいる最高評議会とその終身最高指導者であるハメネイ師から横槍が入る形で邪魔されるのは、こういうメチャクチャな国家システムの為である。
このハメネイとイラン最高評議会は、ナレンドラ・モディや習近平と堂々と肩を並べる様なレベルの組織と指導者であるので、こんな連中が上に存在するという苦労には誰しも同情するのではないだろうか。
この連中の都合の良い神輿としてアハマディネジャドは存在していたのだ。
ただ、今彼は華麗な転身を図ろうとしている。
イランのブラックボックス化している政治体制にケンカを売ろうとしているのだ。
彼は大統領職を去ってから、反政府デモを指示したりイラン国内の体制の腐敗を訴えているのだ。
無論、こんな事をすれば自身の政治生命は危うい。
事実として大統領選への再立候補は却下されているし、その側近にも懲役刑に処せられている者もいる。
ただアハマディネジャドはある一点に目を付けている。
最高指導者であるハメネイの年齢と寿命だ。
今のイランの、傍から見たらお笑いニートが回顧主義的なお笑い政治を行っている、と評する事の出来る体制は、ハメネイという核というか腫瘍が無ければ成立しない。
その事を神輿であったアハマディネジャドは知悉している訳だ。
だからこそそんな老害ニート政権とそれに妥協せざるを得ないロウハニ大統領にケンカを売る事で、権力に抵抗する革命家として自らをブランディングして、新たな政治基盤を獲得しようとしている。
彼のヤッている事は大統領職にあった頃とは対象的だが、その本質の劇場型のポピュリストであるところは変わらない。
ただし、ヨブ・トリューニヒトがローエングラム朝を立憲民主国家に変様するきっかけを作った様に、このアハマディネジャドというポピュリストがイランというお笑い狂信暴力ニート国家を瓦解させる可能性が出て来たのは興味深い。
アハマディネジャドがノリと勢いで殺されちゃうじゃんと思った方、ちょっと読みが甘いと思います。
イランには、アンドリュー・ホークやオフレッサーみたいなのは沢山居るだろうけども、きっとロイエンタールみたいな人は居ないのである。
その点に気が付いたアハマディネジャドはなかなか強かで侮れない御仁であると思い直したのであった。