和side
この曲の体型は基本、俺がリーダーの斜め後ろにいるポジションだから、様子がよくわかる。
さっきは少し息切れも落ち着いてきたと思ったけど、また酷くなってきてる。
相変わらず汗もびっしょり。
鏡に映るリーダーの顔は、本当にキツそうで。
目もうつろになってきた。
そのころ、またどんどん呼吸が荒くなってきて。
智「はあっはぁッ……はぁっ…」
それでもリーダーは、たぶん自分の世界に入ってしまっていて
自分の限界を知りもせずに
ただ2週間後に迫ったコンサートのために
なんとかしなきゃという思いに向き合っているんだろう。
反対側にいる3人も気づいてるみたいで
鏡越しにリーダーを見ているのがわかる。
……それでも、曲が止まることは無い。
……ちょっと、やばくないか?
息切れの度が超えてる。
いや、これは
息切れじゃない。
さすがに怖くなって、やっと俺はダンスをやめて声をかけたんだ。
和「リーダー!ちょっ、一回落ち着こ?」
声をかけると、我に返ったように
そのうつろな目で俺を見て
口に手を当てた。
ス「大野さん!」
やっと、曲が止まる。
智「はあっはぁッ……ハアッハァッ…ハッッハッ……」
その激しい呼吸音が、スタジオ内に響く。
これ、…過呼吸、だ。