正と負の狭間で | 狂った日本の中で生きるチカラ

狂った日本の中で生きるチカラ

日本の社会に翻弄されて得た沢山の記憶と体験をこれから体験するかもしれない人のために在るべき姿。

今日突然昔経営していた会社でとてつもなく苦労をかけた人から電話があった。

その彼は当時就業中に脳の病に冒され、仕事が出来なくなったりしたが、それでも何かしらの仕事を…とお願いなどしていた。

私が会社を取られ、その後に別の人が会社を作る際に私の信用で資金の借入をお願いし何も詳しく聞かずに貸してくれた人だ。
だが、私はその会社でも結局上手くは出来ず、私はその彼から逃げるように連絡を絶った。

同じ人がもう一人いる。
その彼女は当時の会社の創業期から一緒に立ち上げをしてくれ、多くの従業員がいる中で常に人材をまとめ上げてくれた。
会社が取られた際には彼女も辞めたが、その起業の際に共にしてくれただけではなく資金も出してくれた。

結果的に唯一私が人を裏切った二人であり、心の中にいつもいて、私が名字すら捨て携帯番号など情報を全て消した際にもこの二人の番号だけは消せなかった。

その二人のうちの一人から突然の電話だった。
きっと苦労しているに違いない彼は、生活のために資金を追い私の情報を誰かから聞いてGoogleで名前を検索したそうだ。

私は1つ大きな過ちをしていた。
彼等の存在を心の中から消そうとしていたように感じた。
その上で成功や軌道に乗る流れを夢見ていたように思う。一度大きく疲れ、全てを諦め、家族のみを何とかしたいがために自らの責任を放棄した。

そして月日は流れて今ハイリスクの状態とはいえ会社の代表者に再度なり、全く過去に関係の無い世界で一から始めた。
多くの関係者や金融機関が当社のプランを評価してくれて借入も進んだ。
スタッフも雇うまでになり、引き返せないくらいの環境を構築した矢先だった。

不思議なほどに縁とは繋がっているのだなと思う。
このタイミングで彼は私をカネとしてググった。色んな感情があったと思う。カネに困る時はそういうもので、私も嫌という程その世界に嵌まり込み沢山の人達に迷惑をかけた。

語れぬほどに家族に嫌な思いをさせ、自らの価値を見失う程に心を崩落させた。

それでも信じてくれる妻や子供達のために生きると決めて最初に出てくる二人も捨て、私の親兄弟や親族も捨て、故郷を捨てた。経営者としての生きる道も捨てた。

でも、経営者の道を再度掴み始めたこのタイミングでの彼等との復縁は何か因縁めいたものを感じる。
良くも悪くも心の中に在る世界は再現されるのかもしれない。

私が唯一捨てられなかった自らの汚点と失敗。
それが彼等とのカネの繋がりであり、それは別の意味でも過去の自分の唯一私を信じてくれた人達なのだ。

正と負の狭間で私は今どうして良いか分からずにいる。
でも、彼等がこの何年もの間生きていて、少なからず過去の話が出来る状態であった事は良かったと思う。
おそらく彼等もまた生きていたのかと思っただろう。家族ぐるみで付き合い、我が家の子供達が生まれた時も一番に抱き上げてくれた人達。
私はそんな彼等を裏切ったのだ。

どう復縁など出来るのだろう。
先ずはカネじゃないかと思っている。だが今の会社では全くにそうした清算は出来ない。清算すれば会社は終わる。

自分達のささやかな報酬でさえ借金で回しているのだから。

心が強いストレスを感じたのだろう。
下痢が酷い。笑ってしまう。私はヤッパリ過去が怖かったのだ。
それでも実名をネットで晒し、活動していたのだから何処かでこの時を待っていたようにも思う。

今の私に彼等の何を救えるというのだろう。
今まで避けていた過去の遺恨をどのようにすれば良いのか、今の段階では全く分からないが、コレが正しく因果応報というものだと思う。

携帯から削除出来なかった私の深淵はやはり顕在化するのだという実証をしてしまったのだと思う。

当時の絆や想いは多分取り返せないだろう。
当然だと思う。
だからこそ、稼がなきゃいけない。清算して初めてスタートラインだし、それでも叶わないものはあると心して臨まなきゃいけない。