旅する力
明日の専修大で行う授業のテーマが「旅」。
この一週間ほど、旅について想いを巡らせています。
そんななかで手に取ったのが、この一冊。
旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫) | |
沢木 耕太郎 新潮社 2011-04-26 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
『深夜特急』を読んで、旅に出てしまったり、
旅に憧れた人に、おススメの書です。
メモ的に印象に残った文章をノートします。
‘人は旅をする。だが、その旅はどこかに在るものではない。旅は旅をする人が作るものだ。かりにそれがすべてお仕着せの団体旅行であっても、旅はどこかでその人によって作られるという要素を含んでいる’
‘「ほんとうにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな。知らなければ知らないでいいんだよね。自分が知らないことを知っているから、必要なら一から調べようとするに違いない。でも、中途半端に知っていると、それにとらわれてとんでもない結論を出してしまいかねないんだ。どんなに長くその国にいても、自分にはよくわからないと思っている人の方が、結局は誤らない」’
‘私が旅で得た最大のものは、自分はどこでも生きていけるという自信だったかもしれない。どのようなところでも、どのような状況でも自分は生きていくことができるという自信をもつことができた。
しかし、それは同時に大切なものを失わせることになった。自分はどこでも生きていくことができるという思いは、どこにいてもここは仮の場所なのではないかという意識を生むことになってしまったのだ’
‘あるとき、クライマーの山野井泰史氏と対談していて、サラリーマンがリストラに遭ってしまったり、会社が倒産してしまったりというようなことがあった場合、多くの人が動揺して立ちすくんでしまうのはどうしてだろうという話が出てきた。そのとき私たち二人が一致したのは、「問題は予期しないことが起きるということを予期していないところにあるのではないか」ということだった’
‘私が旅という学校で学んだことがあるとすれば、それは自分の無力さを自覚するようになったということだったかもしれない。もし、旅に出なかったら、私は自分の無力さについてずいぶん鈍感になっていたような気がする。旅に出て手に入れたのは「無力さの感覚」だったと言ってもいいくらいかもしれない’
‘もしあなたが旅をしようかどうしようか迷っているとすれば、わたしはたぶんこう言うでしょう。
「恐れずに」
それと同時にこう付け加えるはずです。
「しかし、気をつけて」’