監督/ヘティ・マクドナルド
製作/ジュリエット・ダウリング
ケビン・ローダー
原題/The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry
2022年/イギリス/108分
STORY
定年退職し、妻のモーリーンと平凡な生活を送るハロルド・フライ。
ある日、北の果てから思いがけない手紙が届く。
差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚クイーニーで、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるという。
ハロルドは返事を出そうと家を出るが、途中で心を変える。
彼にはクイーニーにどうしても会って伝えたい“ある想い”があった。
ホスピスに電話をかけたハロルドは「私が歩く限りは、生き続けてくれ」と伝言し、手ぶらのまま歩き始める。
歩き続けることに、クイーニーの命を救う願いをかけるハロルド。
目的地までは800キロ。
彼の無謀な試みはやがて大きな話題となり、イギリス中に応援される縦断の旅になるが──!?
ポスターとか予告編の感じだと「ポップな明るいロードムービーかな♬.*゚」なんて、勝手に想像してたので鑑賞して拍子抜けしてしまいました。
次第に明かされていく妻の本心や息子との悲しい過去がちょっと重くて。
クイーニーへの当たり障りのない手紙をポストに出しに行っただけのはずなのに、何も持たずにそのまま旅へと出発しちゃうハロルド。
旅の途中、色々な人に助けられるのですが、その出会った人達との物語が個人的には凄く良かったです。
お医者さんなのに女だからという理由で医者の仕事がなく、清掃員の仕事をしている女医さんがジョゼは好きでした。
そして彼女の言葉がとても印象的だった。 歩くってすごくシンプルなことだけど
本能的なことって案外難しいものよね
食べることや眠ることって本能だから、普段当たり前にしているけれど、拒食症になってしまったり、不眠症になってしまったりする人もいる訳で。
だから彼女の言葉にものすごく共感した。
クイーニーを救うという目的で800キロの道のりを歩くハロルド。
だけど、たどり着いたところでクイーニーの癌が治るわけでは勿論ない。
奥さんにも言われてましたしね。
病気を治せるのは医者だけだって。
でも無駄に思えるような事でも、無駄な事なんてなくて、誰かの希望や光になれる。
最後まで観て、私はそう思いました。
当初の目的はクイーニーを救うってことだったけど、途中からは妻への思いや息子への思いと向き合いながら、自身が送ってきた人生の後悔を振り返りつつ、贖罪の為にハロルドは歩いてたって事なんですね。
後悔のない人生を送れればいいんだろうけど、多分そんな風に生きてる人って極わずかだと思うんです。
私なんて「あの時こうしてたらどうだったかな…」なんて考えてばかりですし。
だからそのあとの人生を後悔のないものにする為にはどうすればいいのかって事が大切なのかなって思いました。
だからそのあとの人生を後悔のないものにする為にはどうすればいいのかって事が大切なのかなって思いました。
観たら前向きになれるような映画か?って問われたら、なれないような気がします。
あくまで私はですが。
でも良い映画だとは思います。
ちょっと暗くて重いけど、人生は複雑なのが当たり前だって思うので。
それとハロルドの物腰柔らかなのに、一度決めたらブレない頑固なところも好きでした。