監督/シャーロット・ウェルズ
製作/アデル・ロマンスキー
エイミー・ジャクソン

原題/Aftersun
2022年/アメリカ/101分




11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みをその20年後、父と同じ年齢になった彼女の視点から綴り、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。




     「残すから
                私の小さな
                    心のカメラに」




STORY




思春期真っ只中、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。

輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。

20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく・・・。





同じ空を見るってステキ

どういうこと?


たとえば遊び時間に空を見上げて太陽が見えたらパパも太陽を見てると思える


同じ場所にいないし、離ればなれだけど
そばにいるのと同じ
だからそうやって私たちが…
同じ空の下にいるなら…
一緒と同じ




ここ凄く好きなシーン。
本当は一緒に暮らしたいのにそれは叶わなくて、でも同じ空の下にパパが居るんだって思うと、離れてても近くに感じるっていうソフィのカラムへの大好きな気持ちや父娘の絆が感じられる素敵なシーンです。





カラムと同じ31歳になった時に、2人で過ごした最後の夏を振り返り、ソフィは気付く




あなたを知るには11歳の私は幼すぎた

もしあの時あなたの心の声を聞くことが出来たならあなたを救えたのではないか
もっと違う未来があったのではないか

今の自分なら、当時のあなたの苦しみを理解出来るのではないか




aftersun(アフターサン)って何だろう?って思って調べたら「日焼けした後に塗る保湿ローション」のことなのだそうです。

ソフィが父と過ごした11歳の夏休みの記録(ビデオ)を見ながら記憶をたどり、当時の父の気持ちを理解しようとする行為こそが、aftersunなんだなって理解しました。                            

日焼けしてヒリヒリした肌に保湿ローションを塗るみたいな。




ソフィ役のフランキー・コリオは完成した映画を観て泣いてしまい、監督に「なんでこんな悲しい作品を作ったの?」と詰め寄ったのだとか。




ごく自然に「ソフィ」という女の子を演じていた彼女は、11歳のソフィと同じようにカラムの悩みや葛藤には気付けなかった。

だから完成した作品を観て

”私の見ている世界とパパの見ている世界はあまりにも違う”

という事実に気付いてしまい、涙したんだと思います。





11歳の誕生日には何をした?


11歳の誕生日は誰も覚えていなかった





自分の誕生日を親が覚えていないという環境で孤独に生きてきたカラム。
そして20歳で父親になり、でもその妻とは別れてしまった為に娘であるソフィにもほとんど会えず、彼女を習い事に通わせるお金もないという現状。




それでもソフィとカラムの夏休みは、キラキラ眩しくて美しくて、本当に楽しそうで。




しかしその一方でカラムの闇は深くて複雑で、時折見せる苦しげな表情からギリギリな精神状態が読み取れて。




だから2人のキラキラの思い出とカラムのギリギリな精神状態とのギャップに胸が苦しくなりました。




父親としての落ち着きと、まだ大人になりきれていない危うさと繊細さとが同居するカラムを演じたポール・メスカルの演技は素晴らしかったと思います。

彼は、本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、次世代スター候補として注目が集まっているそうです。




そして本当の父娘のようなオフショットかわいい♡



誰しもの心の片隅に存在する、大切な人との大切な記憶。

” 思い出 ” という概念をそのまま映画にしたような素敵な作品になっていると思います。

観終わった後に、日焼けした時のようなヒリヒリした感じを心に残す切ない映画ではあるけれども私はすごく好きです。





興味持って頂いた方はぜひご覧ください。
お読みいただきありがとうございます。
では股(o'∀'o)ノ))マタネ-