ストーリー
1966年、講演旅行をきっかけに出会った長内みはる(寺島しのぶ)と白木篤郎(豊川悦司)は、 それぞれに妻子やパートナーがありながら男女の仲となる。
もうすぐ第二子が誕生するという時にもみはるの元へ通う篤郎だが、 自宅では幼い娘を可愛がり、妻・笙子(広末涼子)の手料理を絶賛する。
奔放で嘘つきな篤郎にのめり込むみはる、全てを承知しながらも心乱すことのない笙子。
共犯とも連帯ともいうべき3人の関係性が生まれる中、 みはるが突然、篤郎に告げた。
わたし、出家しようと思うの。
こちらの作品は瀬戸内寂聴、井上光晴、そしてその妻―。
実在した人物をモデルに、男女3人の特別な関係を、井上夫妻の長女である直木賞作家・井上荒野が綴った小説『あちらにいる鬼』を映画化したものになります。
作者の父 井上光晴と、私の不倫が始まった時、 作者は五歳だった。
五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂はこの小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。
作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。
作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。
百も千もおめでとう。
――瀬戸内寂聴
2021年、満99歳で波乱の生涯を閉じた瀬戸内寂聴さん。
恋に生きた女性というイメージが私の中にはあり、寂聴さんの書く文章好きで本も何冊か持っています。
原作『あちらにいる鬼』は本屋さんでたまたま見つけて、寂聴さんがモデルになっているということに興味を持ち購入しました。
”髪を洗ってやるよ”
ここ私が一番泣いたところ。
出家することが決まり、これが男と女でいられる最後の夜だと悟った白木がみはるの髪を優しく洗ってあげるシーン。
白木に恋した瞬間の顔もそうなんですが、この時も寺島しのぶさん演じる、みはるが少女みたいな可愛い顔をするんです。
それを観てたら私、涙が止まらなくなっちゃって。あぁ、終わりなんだなって、二人もそれをわかってるんだなって。
そのあと、ベッドで白木が言います。
なんで出家しようと思ったの?俺と別れれば済む話じゃないのか?って。
それに対してみはるがこう言うんです。
どちらかが死ななければ、別れられない。
私たちは終われない。
でもあなたが死ぬのはいやだ。
だから私が。
出家って生きながら死ぬってことでしょ?
ここでまた涙出てくる
不倫でしょって不快に思う方、もちろんいらっしゃると思います、思いますけど…
好き過ぎてそんな風にしか別れられないなんて悲しい。
みはるが凄くいじらしいし、切ない。
— 井上荒野 (@arereno) May 15, 2023 ">
今日5/15は父の誕生日でもあります。寂聴さんと父は同じ誕生日だったんですよね。運命って言葉は軽々しく使いたくないけど、二人は出会うべくして出会ってしまった二人だと思う。 https://t.co/3mIbuJ2xzH
— 井上荒野 (@arereno) May 15, 2023
私は運命とか信じないので、寂聴さんと井上光晴さんとの出会いは必然で、惹かれ合うべくして惹かれ合い、そして別れも必然だったのかなと思います。