信玄「これも運命かもしれないな。戦わざるを得ないという」
謙信「ならば、場所を移すぞ。存分に相手をしてやる」
信長「臨むところだ」
(せっかくお店を見つけたのに戦うだなんて・・・・・・)
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無言でどんどんひと気のない方へ向かうみんなを、私も追いかける。
(なんとか止めないと・・・・・・!)
そう決意すると、みんなの間に割って入った。
「待ってください。こんなことしてる間にも売り切れちゃいます!ここまで来て、金平糖も梅干しも手に入れられなかったなんて嫌ですよね⁉︎」
信玄・信長「・・・・・・!」
謙信「確かに、売れ切れてしまっては元も子もないな」
信長「行くぞ、ゆう」
「はい・・・・・・!」
信玄「俺たちも急ぐぞ、謙信」
みんな踵を返し、市へと戻っていく。
(戦わずにすんでよかった・・・・・・)
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そして、先程の露店へとたどり着くと------
信長「つい先ほど、売り切れただと?」
店主の返答を聞き、愕然とする。
「そんな・・・・・・」
謙信「金平糖はなくとも、珍しい梅干しはあるのだろう?」
商人「そちらも置いてたんですが、ちょうど売り切れです。せっかく来てくれたのにすみませんね」
(まさか、本当に売り切れちゃうなんて・・・・・・)
思わず、みんなで顔を見合わせていると------
佐助「謙信様、信玄様」
ひょっこりと、どこからともなく佐助くんが現れる。
信長「お前は・・・・・・」
(佐助くん!)
謙信「わざわざ迎えに来たのか」
佐助「はい。お土産を買ってきましたから、帰りましょう」
佐助くんは、謙信様と信玄様にそれぞれ包みを手渡した。
佐助「これ以上は騒ぎになったら面倒です」
謙信「これは・・・・・・例の珍しい梅干しか?」
佐助「そうです。信玄様のそのまんじゅうも絶品だそうですよ」
信玄「へえ、なかなか気が効くな」
(さすが佐助くん、ナイスタイミングで現れてくれたな)
助け船だと察して、私はみんなに向き直った。
「それじゃあ今日のところは、痛み分けということで解散しましょう!」
信玄「仕方ない、続きはまた今度だ」
信長「いつでも受けて立ってやる」
謙信「戦い足りんが、佐助の梅干しに免じて許してやろう」
佐助「謙信様は早く食べたいだけでしょう。とにかく行きますよ」
佐助くんに促され、謙信様と信玄様はこの場をあっさりと去って行く。春日山城のみんなの後ろ姿に、信長様は短いため息を吐いた。
信長「あの忍、もっと早くに主君をどうにかすれば良かったものを」
「えっ・・・・・・」
信長「市で視線や気配があった。おそらく機会を窺っていたのだろう」
(そうだったんだ・・・・・・!気づくなんてさすがだ)
信長「それよりも、もうここに用はない。帰るぞ」
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(結局無駄足になっちゃったな)
帰り道、馬の上で信長様の背中に掴まったまま小さなため息を吐く。
(せっかくのお誕生日だから、信長様に喜んでもらいたかったのに・・・・・・)
信長「ゆう」
突然、名前を呼ばれてはっとし、顔を上げる。
「は、はい」
信長「何故、そのような顔をしている。そんなに貴様も金平糖が食べたかったのか」
「違います!信長様にどうしても食べさせてあげたかったので・・・・・・」
(それに、贈りものも選べなかったし)
「悩みを解決するどころか、大変な一日にしてしまいましたよね」
申し訳ない気持ちで告げた私に、信長様は小さな笑みを浮かべた。
信長「何を言っている」
「え?」
信長「忘れられん一日となった、確かにこんな誕生日は初めてだが、貴様となら悪くない。少し派手な逢瀬だった。それだけのことだ」
「信長様・・・・・・」
(私の気持ちを汲んだ上で、本気でそう言ってくれてるんだ)
信長様のそんな優しさが胸の奥までじんと響く。嬉しさがいっぱいに溢れてきて、思わず信長様に抱きついた。
「お誕生日、おめでとうございます。信長様」
信長「ゆう・・・・・・」
応えるように、腰に回している私の手に信長様の手が重ねられる。抱きついた背中や重なっている手はあたたかく、五月の風は新緑の香りがして心地よい。
(色んなことがあったけど・・・・・・私も信長様とこの日を過ごせてよかった)
前方から注がれる夕陽は眩く、美しさに目を細める。
(金平糖の騒動も、いま一緒に見るこの景色も、忘れない)
茜色に輝く光に照らされ、私たちは安土城へと帰っていった------
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政宗「遅いですよ」
着替えを済ませ、急いで広間に向かうと、たくさんの料理とともにみんなが待ち構えていた。
政宗「こんな時間まで、どこで何をしてたんだか」
三成「きっと宴のことを忘れてしまうくらい楽しいお時間だったのでしょうね」
家康「お前、嫌味に聞こえるぞ」
光秀「無駄だ。三成に他意はないだろうからな」
秀吉「お前たち、きちんとお出迎えしろ。今日は信長様の誕生日だぞ」
信長「良い。今日は無礼講だ」
信長様はからりと笑いながら、上座に腰を下ろす。そして、自分の隣をぽんぽんと叩き、私を呼ぶ。
信長「早く座れ。貴様が席に着かんと宴が始まらん」
「はい・・・・・・っ」
せかされて、私も慌てて信長様の隣に座る。
秀吉「じゃあ・・・・・・皆、いいか」
こほんと咳払いした秀吉さんが、合図をするように盃を手にし・・・・・・
一同「信長様、誕生日おめでとうございます!」
盃が掲げられ、お祝いの宴が始まった。
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美味しい料理とお酒で楽しげに盛り上がり------
少し落ち着いた頃、みんなは順に信長様への贈りものを渡していった。
(そういえば秀吉さんは・・・・・・?)
どこか落ち着きのない様子の秀吉さんが、最後に信長様の元へ向かった。
秀吉「信長様、私からはこれを・・・・・・」
そう言って、豪華な壺を差し出す。
秀吉「どうぞ開けてみてください」
促されるまま信長様がふたを開ける。
信長「これは・・・・・・」
(金平糖だ!しかもこんなにたくさん⁉︎)
壺いっぱいに詰まった金平糖に、目を瞬かせた。
家康「この量を集めるの、かなり大変だったんじゃないですか」
光秀「それで今日は朝からいなかったのか」
秀吉さんは、改まって信長様に頭を下げた。
秀吉「昨日は信長様の御身を案じてのこととはいえ・・・・・・誕生日前に小うるさく言い過ぎてしまいました。この金平糖は、謝罪の気持ちと心からのお祝いです」
大量の金平糖と秀吉さんの言葉で、どこに行っても金平糖が売り切れていた理由がわかった。
(市で秀吉さんを見かけたのは、見間違いじゃなかったんだ!まさか秀吉さんが買い占めてたなんて・・・・・・)
思わず信長様と顔を見合わせる。
信長「このような形で決着するとは、想定外だったな」
「そうですね」
何だかおかしくなって、信長様と一緒に笑ってしまう。
秀吉「え?」
秀吉さんはどうしたんだろうといったように首を傾げた。
信長「秀吉、皆の言うように、これだけの金平糖を集めるのはなかなかに大変だったろう。大儀であった」
秀吉「はっ・・・・・・!有難きお言葉」
信長様は、みんなをぐるりと見回した。
信長「貴様らにも礼を言う。こうして祝われるのも悪くない」
一同「はっ」
穏やかに見える微笑みに、柔らかい心地になる。
(信長様にとって、素敵な誕生日になったみたい。よかったな)
嬉しくて、自然と頬が緩んでしまう。
信長「ゆう、こちらへ来い」
「えっ?」
突然ぐいっと抱き寄せられ、膝の上へと乗せられる。ぴったりくっついた身体とすぐ触れそうな顔に、心臓が跳ねた。
「み、みんなの前ですよ・・・・・・っ」
信長「何だ、嫌なのか」
「そういうんじゃなくて・・・・・・」
信長「ならば、こうしていろ。貴様が腕の中にいるのが、俺には祝いだ」
(もう・・・・・・敵わないな)
甘い言葉にドキドキしながら大人しく従っていると、耳元に信長様がささやいた。
信長「もちろん、貴様が足りてないという悩みの方も、今宵解決してくれるのだろうな」
注がれた意地悪な声に、頬が熱くなるけれど・・・
(お祝いしたい気持ちは、私だってみんなと一緒だから)
腕の中から、信長様を見つめて頷く。
「もちろんです!」
はっきり言い切った私に、家康が呆れたようにため息をついた。
家康「あんた、簡単に乗せられてる事に気づきなよ」
光秀「良いんじゃないか。めでたい日だからな」
三成「はい、仲睦まじくて良いことだと思います」
信長「だが、夜まで待ちきれん。先にもらっておくとしよう」
顎をぐいっと掴まれて、頬へと唇が落とされた。
ほっぺにチュウ💋か。。。
みんなの視線の中、途端に耳まで火照っていく。
「っ、信長様!」
信長「この程度で済むと思うな」
信長様はまったく悪びれる様子はなく、愉しそうな笑みを浮かべる。
(恥ずかしい、でも・・・・・・悩みも晴れて、信長様の笑顔がみられて嬉しい)
愛する人が生まれたこの日を、みんなと一緒に祝えて、喜んでもらえるのは幸せで・・・・・・部屋に戻った後は約束通り朝まで愛され、私はまた幸福感に浸ったのだった------
