状況が把握できないまま、私は武将達の集う広間へと逆戻りした。

信長「安土に戻ったばかりで謀反(むほん)の報か。休み暇もないな」

報告を聞き、信長様は言葉と裏腹に楽しそうに笑った。

家臣の話によると、最近信長様に制圧されて傘下に入ったばかりの小国の大名が本能寺で信長様が死にかけたと聞き、反撃の好機だと考えて兵を挙げたらしい。
(つまり戦になるってことだよね?信長様はどうして笑ってられるの?)
隅で話を聞いているだけの私の方が、当の信長様よりよっぽど慌てている。

光秀「さて・・・・・・いかがいたしましょう、御館様(おやかたさま)」

信長「そうだな・・・」

秀吉「俺が参ります。身のほどを知れと刀で教えてやらなければ」

政宗「俺に行かせろよ。京では暴れ損ねたことだしな」

緊迫した空気の中、信長様が立ち上がった。

信長「いや、俺がいく」

秀吉・政宗「・・・・・・」

家康「信長様みずから、ですか?」

(皆、びっくりした顔してる・・・・・・。そういえば時代劇の合戦のシーンだと、こういう場合、一番偉い人は後ろで見てるだけだよね)

三成「恐れながら、信長様が相手になさるような相手ではないかと。相手の兵力は多く見積もっても千か二千。ほんの小物です」

三成くんからも、あの天使の笑みが消えている。

信長「であれば、こちらは五百で討って出よう」

家康「五百・・・・・・?無茶です、そんなの」

(ほんとだよ・・・。なんでわざわざ不利になるようなことするの?)
冷たい目で笑っている信長様は、何を考えているかさっぱりわからない。

ぽかんとして見つめていると、目が合った。

信長「ゆう、貴様も来るが良い」

「えっ、私もですか?!」

秀吉「信長様、それは・・・・・・」

信長「口を挟むな。連れていくともう決めた。せいぜい俺に幸運を呼び込め、ゆう」

(それって・・・・・・)
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信長「俺のそばにいろ。貴様は、それだけで良い。貴様をそばに置くのは、天下統一を成し遂げる験担ぎ(げんかつぎ)だ」

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「前に言ったこと、本気だったんですか?!」

信長「当然だろう。俺が語るのは、決定事項と事実のみだ。支度をしろ。陽が落ちるまでに兵を集め、討って出る」

(そんな・・・・・・!)

1:絶対嫌です!
2:私には無理です! ♡
3:どうしてもですか?

「わ、私には無理です!戦に同行するなんて」

言い返した声が、恐怖で少し震えてしまう。

信長「無理なことなどないだろう。貴様はただ、俺のそばで戦を見ていればいい」

あ然とする私を残し、信長様が広間を出て行く。

秀吉「信長様が京からお戻りになられたばかりだと言うのに・・・・・・間の悪い」

光秀「まあそう気に病むな。策としては上々だ」

家康「ねえ、ゆう・・・・・・とか言ったっけ。ぼんやりしてないで支度すれば」

「いえ、私は戦なんて・・・・・・」

家康「わかってない女だな」

ため息をつき、家康さんが呆れた顔で私を見つめた。

家康「信長様の命(めい)は絶対だ。弱い者にとっては、なおさら」

秀吉「そう心配するな、大した戦じゃない。お前は見物してればいい」

「そんなのん気な気分になれないよ!」

秀吉「いーから来い」

「待って、ちょっと・・・・・・!」

抗議の声を無視し、秀吉さんが私の手首を掴み広間の外へ引っ張っていく。

三成「ゆう様、私も支度をお手伝いいたします」

光秀「馬から転げ落ちるなよ、ゆう」

(嘘でしょ・・・・・・!)

こうして私は、タイムスリップ二日目にして・・・・・・本物の合戦を目の当たりにすることになった。



千か二千の敵に対して500でうってでる。。。

って、最初から不利じゃない〜

家康だってそう言ってたじゃない⁉️

「無茶です、そんなの」って

何回でも言うよ、なんでわざわざ不利になるようなことするのよ〜〜 

そんな状況でもゆうも来いだなんて。。。

悪魔だぁー

言っておくけど、ゆうなんか連れてったって何の役にもたたないし、幸運なんて呼び込めないよ〜

だってゆうは・・・・・

ただの現代人だもん〜〜