政宗「着いたぞ、ゆう。織田軍の膝元安土城だ」
(本物の、安土城・・・?!)
秀吉「ゆう、その寝ぼけた顔で信長様の御前に出るなよ」
「っ・・そもそも私、信長様のところに行くなんて言ってない」
政宗「起き抜けから威勢がいいな」
耳元でからかうような声がして、はっとする。
(政宗さんに抱きかかえられたままだった・・・!)
「とにかくおろして・・・!」
政宗「断る。お前は抱き心地がいい」
「な、何いってるの・・?!」
秀吉「政宗、そんなナリでも信長様が見初めた女だ。手はだすな」
政宗「関係あるか?俺はこいつが気に入った。下克上が世の理だ。戦も、女もな」
「え・・っ」
野生の獣が獲物を狙っているような目に、魅入られそうになった時・・・
町娘たち「秀吉様!お帰りなさいせ」
(ん・・?)
黄色い歓声がきこえた。
「早くこちらへ!秀吉様」
「政宗様は今日も麗しくていらっしゃるわ・・!」
町娘らしき女性たちが門前の道に列をなし、笑顔で手をふっていた。
政宗「毎度毎度、賑やかな出迎えだな、秀吉。あの中の何人泣かせた?」
秀吉「そんな真似するかよ」
肩をすくめて馬から飛び降り、秀吉さんは女性たちの群れへ向かう。
秀吉「わざわざ出迎えなくていいって言ってるだろ?家の仕事大丈夫なのか?」
町娘1「秀吉様のためにさっさと片付けてきたに決まってるでしょ?」
町娘2「しばらくはお白でゆっくりなさるのよね?いつならお会いできる?」
秀吉「女に誘わせたりできるか。落ち着いたら文を送る」
町娘たち「いつまでも待ってます!」
政宗さんと馬に乗ったまま騒ぎを見守り、釈然としない気持ちが広がった。
「私の時と、態度違いすぎでしょ・・・」
政宗「秀吉はあれがじだ。お前だけは別らしいが」
「普段は優しい人ってこと?なんだか、ピンとこないけど・・・」
政宗「ゆうもゆうだ。人たらしの秀吉になつかない女も珍しい」
肩越しに顔を覗き込み、政宗さんが好奇心に満ちた目を向ける。
「お前・・一体何者だ?」
(何者だって言われても・・っ)鼻先が触れそうな程距離が近づき、身をこわばらせたその時。。
三成「お帰りなさいせ、秀吉様、政宗様」
??「・・・・」
(三成さん、先についてたんだ。隣にいる人は初めて見るな。信長様も、きっともう城にいるって事だよね)
私の緊張に気づく様子もなく、政宗さんはどこか上機嫌に目を細めた。
政宗「家康が出迎えに顔を見せるとは思わなかった。珍しいこともあるもんだな」
「え、家康って・・・」
政宗「三成の隣で仏頂面してる男だ。ちょうどいい、挨拶しとけ」
馬から降りた後、政宗さんに当然のような顔で手をひかれ、町娘たちの合間を縫い、三成さんともう一人の男性が待つ門前へ向かった。
三成「お待ちしてました、ゆう様」
(癒されるな、この笑顔。波乱続きだから余計に沁みる・・・。ってそれより・・・!)
「私、信長様にあうつもりないんですが・・・」
家康「・・弱そうな女」
私の言葉を遮って、家康と呼ばれた男性が眉をひそめる。
家康「あんたが、ゆう?」
「はい、初めまして。あなたは家康さんですよね」
家康「だったら、なに」
「な、何っていわれると困るんですが・・・」
私を見据える家康さんの瞳は、氷のように冷ややかだ。
(この人ってきっと、徳川家康だよね?こんな性格だったの・・?顔立ちが淡麗なぶん、冷たくされるとダメージ大きい・・・)
秀吉「家康、それで出迎えのつもりか?笑顔の一つでも見せろよ」
秀吉さんが女性の歓声を背に、苦笑を浮かべてそばへやってくる。
政宗「そういえば家康が笑ってる所あまりみないな。お前、普段どんな顔で笑うんだ?」
家康「どうでもいいでしょう、そんなこと」
秀吉「お前なー、そういうのよくないぞ。人生損するからたまには笑ってみろ」
政宗「俺も手伝ってやる」
家康「っ・・やめてください、本気で迷惑です」
くすぐろうとする秀吉さんと政宗さんの腕を、家康さんが顔をしかめて振り払う。
(この人達って・・意外と仲良し・・?)
ぽかんとする私を見て、三成さんが静かに告げた。
三成「家康様は政宗様と同じく信長様と同盟を組まれていて、信長様暗殺の報を受け、駆けつけてくださっているのです」
「そ、それで名だたる武将が勢揃いしてるんですね」
三成「それはでは皆様方、再会を喜ぶのはご休憩されてからになさいませんか?」
家康「・・言葉や正しく使え、三成。俺は微塵も喜んでない」
三成「あ・・すみません。ともかく立ち話はこのへんにいたしましょう」
「お部屋をご用意しました。ゆっくりとお休みになってください」
断るまもなく三成さんに背を押され、私は安土城へを足を踏み入れた。
武将オールスターズ勢揃いだねー^_^
秀吉さんは町娘に大人気なんだ〜〜
家康、初対面から、「だったら、なに?」
って。。。
なんでもないよ〜〜