完璧に踊る練習ばかりしていても、本番では発揮できません。

なぜか?

練習と本番では

全ての環境が違うからです。


でも、その違いをきちんと理解しておけば、対策が見えてきて、本番に力を発揮することができます!

舞台の上で輝ける為の、意味のあるリハーサルでありたいと思っています。

踊りを間違えない為の練習や、失敗しない為のテクニックの反復だけをしていても、舞台の上で発揮できるとは限りません。

ただ闇雲に練習量を増やすのではなく、何のためにどんなリハーサルをするのか?
という事をいつも意識しています。


今日は、それらを3つの段階に分けて整理してみたいと思います♪


【練習と本番ではどんな違いがあるのか】
 ⬇︎
【それによってどんな現象がおこるのか?】
 ⬇︎
【それに対してどんな対策をしているのか】



【床の違い】
床の材質が違う事で、硬さと滑りにくさが変わります。
床からの反発が、いつもより低いのか高いのか。
エッジが効くのか効かないのか。


床を押した時に、この強さでこれくらい体が上がるな、という感覚や、着地した時の衝撃も変わります。


それによってどうなるか?

転倒や怪我が引き起こりやすくなります。

そうならない為に、どうすればいいのか。

対策
普段から、床からの反発をいかに利用できるか、プリエをいかにコントロールするか、を意識しておくことです。
足指足裏の感覚、ターンアウト、姿勢、アキレス腱の柔軟、他にも沢山ありすぎるので割愛しますが、結局全部大事なんです!

そして、とてつもなく地道…
日々のレッスンそのものが対策になります。



【鏡が有るか無いか】
鏡が有る状態と、無い状態で、意識の持っていき方が全く違います。
鏡が有る状態では、鏡に写る自分の動きや周りの動きを常に確認しながら、無意識に調整しています。

でも、視覚からの信号に頼りきっていると、今度は自分の内側へ向ける感覚が鈍ってきます。
そうすると、鏡の無い状態で踊ったときどうなるか?

目を閉じて踊っているような不安に襲われる。
頭が真っ白になり振りが飛ぶことがある。


そうならないために…


対策
踊ってる時は鏡をみない、鏡越しに他人を見ない、鏡を頼りすぎない。
自分に意識を集中させる事が大切です。
抽象的だけど、そうとしかいえない。



【見えている景色が違う】
見えている景色、壁までの距離、天井までの距離が違います。

レッスン場と舞台上では、スポットをつける時、バランスを取るとき、見えている景色が違います。

逆光により視界が遮られることもあるし、自分と壁との距離、天井までの距離の差が、感覚を狂わせます。

視覚をうまく利用する事でバランスを保てていたものが、奪われてしまう事で崩れます。

そうするとどんな事が起こるか?

回れなくなったり、バランスが取れなくなる事がある。

そうならないために…

対策
視覚に頼らないバランス感覚を養い、焦点を遠くに合わせる。



【立つ場所の違い】
練習との違いで、これが1番苦労します。

斜めに並ぶのも、円をつくるのも、レッスン場ではなんとなく出来ていた事が、舞台の上では右も左も分からなくなる。

私どっちから出ていくんだっけ💦
舞台を知らない人からすると、そんなこともわからなくなるの!?というような事が起きます。


普段のレッスン場で、景色を目印にしていると…

左右が分からなくなりパニックを引き起こす。

横幅と奥行きがある舞台上で、どこに立つか。
本番は、何番目の袖の(奥行き)何色のライトの前に立つ(横幅)というところまで覚えないといけないのです。

場当たり、というやつです。
これは本当にストレスです。笑

場当たりがストレスにならないために、どうするか。

対策
番号や言葉で認知する。
⬇︎
上手と下手。
前方、中央、後方。
舞台の方向。1〜8
舞台の中心を意識する。

普段のリハーサルの時に、見えている景色を目印にするのではなく、言葉と番号に置き換える。
また、中心からの距離と隣の人との感覚で練習を意識しておく。

中心がずれないように感覚を養えば、場所が変わってもそんなに苦労しません。

下の2枚は舞台稽古無しの、ゲネの写真。

日頃から感覚の訓練をしていれば、ぶっつけ本番でもここまで綺麗に並ぶ事が出来ます。

1年生から5年生までの子供達で踊った作品です。


下の写真は私の中で過去1番に好きな作品。
これも1年生から5年生までの子供達で作った作品です。
上手下手の舞台袖からばばばっと出てきて、数秒でこの形に並びます。
これは本当に素晴らしかった!
涙ぐましいです😭
指導する方も踊る方も、それなりに大変でした。笑


【時間帯、拘束される時間が違う】
今回の発表会は小規模のため短いですが、いつもは大体10時間くらい拘束されます。

リハーサルのたかが4時間や5時間で根を上げるような気力と体力では、本番は身が持ちません。


出番がどんなに短くても、拘束時間は同じです。

踊る分だけの体力があればいい、という事ではないのです。

待ち時間をどう過ごすか。
これがめちゃくちゃ大事です。

適度に身体をほぐし、良い状態をキープしなければなりません。

待ち時間も練習のうち、気力も鍛えられる才能の一つです。


本番までのピリオダイゼーションやテーパリングは、永遠の難しいテーマです。
生徒達が怪我のないように、本番で思い切り輝けますように、学びを続けます。