過去3年間の主要財務データ(連結)
単位:億円(四捨五入)
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | 自己資本比率 |

| 2024.03| 627 | 5.7 | 7.2 | 1.2 | 30.1% |
| 2025.03| 632 | 13.9 | 12.6 | 5.4 | 35.2% |
| 2026.03| 596 | 16.7 | 14.2 | 7.5 | 40.2% |


良い面(ポジティブ評価)
 1. 利益率の大幅な改善と「稼ぐ力」の向上
最も評価できるのは、売上高が減少傾向にあるにもかかわらず、利益が右肩上がりに拡大している点です。

売上営業利益率の推移:0.9%(24年3月期) ➔ 2.2%(25年3月期) ➔ 2.8%(26年3月期)
直近の2026年3月期・第4四半期(1〜3月期)単体で見ると、売上営業利益率は4.1%まで急改善しています。不採算案件の整理やコスト構造の改革、高付加価値品へのシフト(電池事業の損益改善など)が着実に実を結んでいる証拠です。


 2. 財務体質の劇的な強化
バランスシート(貸借対照表)の健全化が急速に進んでいます。
自己資本比率が30.1%から40.2%へと、わずか2年で約10ポイントも上昇しました。純資産が156億円(24年3月期)から191億円(26年3月期)へ蓄積され、負債の削減が進んだことで、中小・中堅規模の製造業としてはかなり安定感のある財務基盤へと生まれ変わっています。


3. ROE(自己資本利益率)の改善
24年3月期の0.84%から、26年3月期には4.22%へと向上。まだ市場平均(8%以上)には届かないものの、資本を効率的に利益に変える体制への移行が見て取れます。


悪い面(ネガティブ・懸念点)

 1. トップライン(売上高)の伸び悩みと縮小均衡の懸念
利益は出ていますが、売上高は2026年3月期に前年比-5.7%と減収に転じています。
電子事業などの需要低迷や事業整理が影響しているとみられますが、コストカットや効率化による利益捻出(縮小均衡)には限界があります。今後、成長軌道に戻すための「新たな動導線(新規顧客・新市場)」を創出できるかが大きな課題です。


 2. 今期(2027年3月期)の「増収減益」予想
2026年4月末に発表された今期予想は、売上高600億円(+0.7%)、営業利益14億円(-16.0%)、経常利益13億円(-8.2%)となっています。
せっかく改善してきた営業利益が再び減少する見通しであり、原材料費の高騰や設備投資・研究開発費の先行負担が重荷になるリスクを市場に意識させています。


 3. 無配の継続と低い資本効率
財務体質は良化しているものの、現状は無配が続いています。株主還元への姿勢という点では、インカムゲインを狙う長期投資家からは敬遠されやすい材料です。また、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割る水準(約0.8〜0.9倍)で推移している時期もあり、市場からの成長期待はまだ「確信」に至っていないと言えます。

投資家としての総括・スタンス
「事業再生・構造改革ステージ」から「持続的成長ステージ」へ移れるかの過渡期

過去3年間で「筋肉質な経営体質」への転換は見事に成功しており、足元の利益を出す力や財務の安全性は格段に向上しています。
ただし、ここからもう一段株価や企業価値が評価されるためには、「減益予想を跳ね返すだけのカタリスト(素材・ニッケル水素電池や次世代電池などのポジティブな進捗)」や、「復配へのロードマップ」が見えてくる必要があります。
現在はカタリスト待ち、あるいは今期予想の進捗(1Q・2Qで会社予想を上振れるか)を慎重に見極めるフェーズと言えます。