何て平和な気分なんだろう

I feel so peaceful

蓮沼の前に座り、そこに泳ぐ鴨を眺めながら彼はほととんど聞こえない程の声で呟いた。


私も全く同じ気持ちだよ。
心の中で答える。


青空で光が満ちていて、風が優しく吹いている。


知り合ったばかりの人達との鎌倉観光。

最初は全く気乗りのしない私だったが、恋人にきっと楽しいからと説得されて渋々やって来たのだった。

ところが一時間も経たないうちに彼らのことが大好きになった。

国籍も年齢も性別も違う私達なのに、どうしてこんなにも違和感がないのだろう?
ずーっと前から知っている友達の様に大笑いしているんだろう?


今日ここに来た事で今までのストレスが全部どっかに行っちゃったよ、とニコニコしながら私と恋人の写真を撮ってくれる彼。

その言葉に、その心に、私は涙が出てきた。


また、会えたね。

しばらくは会えない、今回の人生ではもう二度と会えないだろう人達。

でも、また会えるね。


ありがとう、大好きだよ。
全ての人間の欲望の行き着く先は…


ただ愛したくて愛されたくて、自分を十分な愛で満たしたい、ただそれだけに尽きるのではないだろうか。

いい車に乗ってお洒落な洋服を着て綺麗な家に住む。
人に認められる仕事をして成果をあげて十分なお金を手に入れる。


或いはそうでなくても、人間というのはただ自分の存在価値、愛し愛されるに十分であると確認したいが為に存在する生き物ではなかろうか。


切ない程に、ただ愛を求めている。
この世で一番甘く切ない幻想。


それは余りに人間らしく滑稽で、とても可愛らしい心である。