メディア王ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏は今年80歳になるが、傘下の新聞の電話盗聴スキャンダルが英国から米国へと広がる様相を見せ、生涯をかけて築き上げてきた「メディア帝国」に今、影を投げ掛けている。

 盗聴スキャンダルを起こした英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」を傘下に置く米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corp)会長のマードック氏は、創刊168年の同紙に対し、廃刊という大鉈(なた)を振るった。同紙には、殺人事件の被害者遺族やロンドン同時テロの被害者、アフガニスタンやイラクで戦死した英軍兵士遺族などの電話を盗聴した疑いがもたれている。

 マードック氏は警察の捜査への全面協力を約束し、英議会調査委員会への証拠提出にも応じる姿勢だが、米国でもニューズ・コーポレーションが、2001年米同時多発テロ事件の犠牲者の通話記録を入手しようとした疑いが浮上し、米連邦捜査局(FBI)が捜査の開始を発表した。