東京・秋葉原の連続殺傷事件で、殺人などの罪に問われた元派遣社員、加藤智大被告(28)の論告求刑公判が25日、東京地裁(村山浩昭裁判長)で行われた。



検察側は「史上まれにみる凶悪犯罪で、悪魔の所業。命をもって罪をつぐなわせるのが正義だ」として、死刑を求刑した。



2月9日に弁護側の最終弁論と被告の最終意見陳述を行い結審する。



判決は3月24日に言い渡される。




昨年1月の初公判から1年。公判はこの日までで28回に及んだ。


加藤被告は起訴内容を認めており、責任能力が争点。



検察側は論告で「わずか数分で7人を殺害し、10人に重軽傷を負わせたもので、人間性のかけらもない。歩行者天国を一瞬で地獄に変えた」と指摘している。


起訴前の精神鑑定では完全責任能力が認められたとし、動機については「自分を無視した者に対し自分の存在をアピールし、復讐(ふくしゅう)するために事件を実行した」と説明した。



そのうえで犯行態様や被害者数などを基準に死刑適用の是非を判断するとした最高裁の「永山基準」に照らして「犯行は執拗かつ残虐で、動機は身勝手極まりない。被害者遺族も極刑を切望しており、社会的影響も甚大だ」などとして、死刑以外の選択肢はないと主張した。



起訴状によると、加藤被告は2008年6月、秋葉原の休日の歩行者天国にトラックで突入。通行人をはねたり、ナイフで刺したりして、計7人を殺害、10人にけがをさせたとされる。




歩行者天国は今月23日、2年7カ月ぶりに試験的に再開された。