○ 駅前
   雨が降る駅前、傘を差した人々が行きかう。
   駅の南口階段を下りてくる小百合。
   トートバックから携帯電話を取り出して、電話を掛けようとするが、電池切れ。駅前の電話ボックスに小走りで向かう。電話ボックスに入り、電話を掛ける。
   電話の呼び出し音
通の声「はい、橋口です」
小百合「もしもし、・・・通さん」
通の声「小百合、小百合なのか?何も言わないで、家を出てったりして、一体何をやってるんだ?」
小百合「母に会ってきました」
   小百合、下を向き考え込む。顔を上げ、
小百合「もう一度やり直したい、優希の母親でいたいんです」
   バスが来て、電話ボックスの前に停車し、小百合の姿が隠れる。
   バスから降りた人々が、駅に向かう。
   クラクションが鳴り、バスが発進して、電話している小百合の姿が現れる。小百合の目からは、涙が零れ落ちている。
通の声「今、どこにいるんだ?」
小百合「駅前の電話ボックスです」
通の声「迎えに行くから、一緒に優希に会いに行こう」

○ 児童相談所・面接室
   小百合と通、席に座り、穂積の話を聞いている。
穂積「それでは、本日付で、橋口優希ちゃんの一時保護の措置を解除します」
   小百合と通、手を握りお互いを見詰め、喜び合う。
穂積「今後も育児などで相談したい事があったら、何時でもいらして下さい」
   ドアをノックする音。
   ドアが開き、久美子に連れられて、優希がやって来る。
優希「パパー、ママー」
   優希、橋口と小百合に駆け寄る。

○同・玄関前
   玄関から出てくる小百合、優希、橋口。
   橋口、傘入れから傘を取り、外に出ると、すでに雨は上がっている。
   優希、手を広げ、くるっと回る。
   優しい表情で、優希の仕草を見る小百合と橋口。
優希「パパ、もう雨ふってないよ」
   優希、空を見上げる。

○ 都会の空
   大きな虹が架かっている。

○ 児童相談所・玄関前
   空を見上げる小百合、橋口。
   優希、虹を指差す。
優希「ママ、虹がでてるよ」
小百合、笑顔でうなずく。
   小百合、優希に近付き、手を繋ごうとするが、躊躇している。
   優希、嬉しそうに小百合の手にしがみ付いて来る。
小百合「優希!?」
   小百合、驚きの表情で優希を見詰める。
   優希、満面の笑顔。
   手を繋ぎ歩いて行く小百合、優希、橋口の後姿。虹に向って歩いていくように見える。

END