○ 同・診察室前の廊下(夜)
橋口が、廊下の壁際に置かれたベンチに腰掛ける。
奥村の声「優希ちゃん、頬っぺたは誰かに叩かれたのかな?」
橋口、驚いて立ち上がり、診察室のドアへ行く。
○同・診察室(夜)
奥村、優希の手に包帯を巻いている。
優希「・・・うん(頷く)」
奥村「お父さん?それともお母さん?」
優希「・・・ママ」
奥村「ママか・・・。他にママに叩かれたりした所はあるかな?」
優希「背中とか・・・」
奥村「優希ちゃん、後ろを向いて、背中、見せてくれるかな?」
○ 同・診察室前の廊下(夜)
ドアの前に呆然と立ち尽くしている、橋口。
ドアが開き、奥村が出てくる。
橋口「先生、一体どういうことなんですか!優希に何かあったんですか?」
奥村「橋口さん、少しお話があります(ベンチを見て)座って話しましょう」
奥村と橋口、座る。
奥村「優希ちゃんに、叩かれた痕や痣があることは、ご存知でしたか?」
橋口「・・・いいえ」
奥村「普段の生活で接していれば、気付くと思うんですが・・・。
お風呂に一緒に入ったりはしないんですか?」
橋口「仕事で帰宅するのが遅いので、何時も妻が・・・」
奥村「そうですか・・・。はっきりと言わせて貰いますが、
私が診察した所、お嬢さんは、奥さんから虐待を受けています。
頬は今日叩かれたものですが、背中等にある痣は、かなり前から出来ていたようです」
橋口「そんなバカな・・・。そんなはずが・・・」
奥村「医療機関などでは、虐待が疑わられる場合、児童福祉法に基づき、
児童相談所に、その事を通告する義務があるんです」
橋口、グッと膝を掴み黙っている。
奥村「よろしいですね。児童相談所に通告しますので、職員が来るまでお待ち下さい」
橋口「優希は?優希と話をさせて下さい」
奥村「お嬢さんは、手の空いている看護師に見てもらっています。
私も虐待について専門ではないので、お嬢さんと話をするのは、
児童相談所の方が来てからにして下さい」
橋口、混乱して頭を抱える。
血に染まったキャラクターのハンカチが床に落ちる。
奥村「それでは、私はこれで」
奥村、診察室に戻る。
廊下のベンチに一人残される橋口。
○ 児童相談所・事務室(夜)
事務机に置かれた電話の呼び出し音が鳴る。
奥の休憩室から、穂積昭義(57)が慌ててやって来る。
穂積、電話の受話器を取り、
穂積「はい、児童相談所です。・・・ええ、・・・はい、・・・分かりました。
では、こちらから職員が伺いますので。はい、はい、どうも。・・・よろしくお願いします」
受話器を元に戻し、溜息をつく。休憩室の方を向き、
穂積「誰か一緒に来てくれ。市立病院で、虐待を受けた幼児が来院したそうだ」
○ 市立病院・救急外来(夜)
穂積と工藤久美子(24)が玄関から入って来る。受付の所にやって来て、
穂積「児童相談所の者です。虐待児童が来院との通告があり、
該当児童の安全確認と保護の為、参りました」
受付の女性「こちらです」
受付の女性、穂積と久美子を診察室に案内する。
○ 同・診察室前の廊下(夜)
廊下のベンチに座る橋口、顔を上げ、マジマジと穂積と久美子を見る。
受付の女性、診察室のドアをノックしてドアを開け中に入る。
受付の女性「奥村先生、児童相談所の方をお連れしました」
穂積、久美子、お辞儀をしながら中に入って行く。
○ アパート・橋口家・キッチン(夜)
テーブルの席に放心した様に座っている小百合。急に、立ち上がり優希の部屋に行く。
○ 同・優希の部屋(夜)
小百合、電子ピアノを見詰める。
橋口が、廊下の壁際に置かれたベンチに腰掛ける。
奥村の声「優希ちゃん、頬っぺたは誰かに叩かれたのかな?」
橋口、驚いて立ち上がり、診察室のドアへ行く。
○同・診察室(夜)
奥村、優希の手に包帯を巻いている。
優希「・・・うん(頷く)」
奥村「お父さん?それともお母さん?」
優希「・・・ママ」
奥村「ママか・・・。他にママに叩かれたりした所はあるかな?」
優希「背中とか・・・」
奥村「優希ちゃん、後ろを向いて、背中、見せてくれるかな?」
○ 同・診察室前の廊下(夜)
ドアの前に呆然と立ち尽くしている、橋口。
ドアが開き、奥村が出てくる。
橋口「先生、一体どういうことなんですか!優希に何かあったんですか?」
奥村「橋口さん、少しお話があります(ベンチを見て)座って話しましょう」
奥村と橋口、座る。
奥村「優希ちゃんに、叩かれた痕や痣があることは、ご存知でしたか?」
橋口「・・・いいえ」
奥村「普段の生活で接していれば、気付くと思うんですが・・・。
お風呂に一緒に入ったりはしないんですか?」
橋口「仕事で帰宅するのが遅いので、何時も妻が・・・」
奥村「そうですか・・・。はっきりと言わせて貰いますが、
私が診察した所、お嬢さんは、奥さんから虐待を受けています。
頬は今日叩かれたものですが、背中等にある痣は、かなり前から出来ていたようです」
橋口「そんなバカな・・・。そんなはずが・・・」
奥村「医療機関などでは、虐待が疑わられる場合、児童福祉法に基づき、
児童相談所に、その事を通告する義務があるんです」
橋口、グッと膝を掴み黙っている。
奥村「よろしいですね。児童相談所に通告しますので、職員が来るまでお待ち下さい」
橋口「優希は?優希と話をさせて下さい」
奥村「お嬢さんは、手の空いている看護師に見てもらっています。
私も虐待について専門ではないので、お嬢さんと話をするのは、
児童相談所の方が来てからにして下さい」
橋口、混乱して頭を抱える。
血に染まったキャラクターのハンカチが床に落ちる。
奥村「それでは、私はこれで」
奥村、診察室に戻る。
廊下のベンチに一人残される橋口。
○ 児童相談所・事務室(夜)
事務机に置かれた電話の呼び出し音が鳴る。
奥の休憩室から、穂積昭義(57)が慌ててやって来る。
穂積、電話の受話器を取り、
穂積「はい、児童相談所です。・・・ええ、・・・はい、・・・分かりました。
では、こちらから職員が伺いますので。はい、はい、どうも。・・・よろしくお願いします」
受話器を元に戻し、溜息をつく。休憩室の方を向き、
穂積「誰か一緒に来てくれ。市立病院で、虐待を受けた幼児が来院したそうだ」
○ 市立病院・救急外来(夜)
穂積と工藤久美子(24)が玄関から入って来る。受付の所にやって来て、
穂積「児童相談所の者です。虐待児童が来院との通告があり、
該当児童の安全確認と保護の為、参りました」
受付の女性「こちらです」
受付の女性、穂積と久美子を診察室に案内する。
○ 同・診察室前の廊下(夜)
廊下のベンチに座る橋口、顔を上げ、マジマジと穂積と久美子を見る。
受付の女性、診察室のドアをノックしてドアを開け中に入る。
受付の女性「奥村先生、児童相談所の方をお連れしました」
穂積、久美子、お辞儀をしながら中に入って行く。
○ アパート・橋口家・キッチン(夜)
テーブルの席に放心した様に座っている小百合。急に、立ち上がり優希の部屋に行く。
○ 同・優希の部屋(夜)
小百合、電子ピアノを見詰める。