タイトル 

虹の袂


登場人物

橋口小百合(26)(18)主婦   
     (6)       
橋口優希(6)   小百合の長女 
橋口 通(31)   小百合の夫   
川神香澄(26)   小百合の母 
             
穂積昭義(57)   児童相談所職員
工藤久美子(24)  児童相談所職員
久我昌治(54)   心理療法士   
奥村康司(44)   医師      

受付の女性
警察官
子供A
子供B

第1話

○ 住宅街の道路
   橋口小百合(26)と幼稚園の制服姿で、鞄を肩から提げた橋口優希(6)
   が手を繋ぎ楽しげに歩いて来る。

優希「今日はね、お絵描きしたの。後ね、大輔くんとブランコで遊んだの」

小百合「そう、よかったわね。お弁当は残さずきれいに食べれた?」

優希「うん、ちゃんと全部食べたよ」

小百合「今日は幼稚園で、どんな事を教わったのかな?」

優希「あのね、『あめふり』の歌、歌ったよ。あめあめ、ふれふれ、かあさんが、ていうの」

小百合「ちゃんと歌えるかな?(歌いだす)あめあめ、ふれふれ、かあさんがー」

優希・小百合「じゃのめで、おむかい、うれしいなー(優希、音程を間違える)」

小百合「優希、今の所ちょっと違ってるよ」

   小百合、正しい音程で歌い直す。

小百合「じゃのめで、おむかい、うれしいなー。はい」

優希「(正しい音程で)じゃのめで、おむかい、うれしいなー」

優希・小百合「ピッチピッチ、ジャッブジャッブ、ランランラン」

   歌いながらアパートへの帰り道を歩いて行く。

○ アパート・外
   築十年ほどの二階建てアパート。ベランダには洗濯物が干されている。

   小百合と優希、階段を上って行く。

○ 同・橋口家・ダイニングキッチン
   優希、テーブルの席に座り、ケーキを食べている。
   
   ベランダの洗濯物を取り込んでいる小百合。

○ 同・玄関
   小百合、トートバックを持ち、スニーカーを履きながら、

小百合「買い物行って来るから、ちゃんとお留守番してるのよ」

優希「うん」
   
○ 同・ダイニングキッチン
   優希、椅子に座って、絵本を読んでいる。流し台の方を見て、

優希「お手伝いしたら、ママ喜んでくれるかな?」

   優希、流し台の前に椅子を持って行き、椅子の上に登る。

   流し台に置いてある食器。

   スポンジに洗剤を付け、皿を洗うが、手を滑らせて皿を床に落としてしまう。

優希「あっ!」

   皿が床に落下して割れる。

   優希、椅子から降りて、割れた皿の破片を拾おうとして、指を切ってしまう。

○ 同・玄関
   ドアの鍵が開く音。
   
   小百合がトートバックと食材の入ったスーパーの袋を片手に提げ、
   ドアを開き入って来る。

小百合「ただいま」

○ 同・ダイニングキッチン
   小百合、スーパーの袋を提げ、台所に入って来る。
 
   優希が、泣きながら床に散らばった皿の破片を拾っている姿。

小百合「何やってるの!(怒鳴りつける)」

   優希、驚いて手を止める。

優希「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」

   小百合は謝る優希を押しのけて、割れた皿を見る、その皿はマイセンの皿。

   小百合、左手で優希の服を掴み引き寄せる。

   優希、目をギュッと閉じる。

   小百合、右手で優希の左頬をビンタする。

小百合「ママが、大切にしているお皿なのに、何で割ったりするの!」

   小百合、両手で優希の肩を掴み強く揺する。

○ フラッシュバック・川上家・リビング
   川上香澄(26)に抱きかかえられ、お尻を叩かれている小百合(6)。

香澄「何で、お母さんの言う事が分からないの!」

小百合「お母さん、ごめんなさい」

○ アパート・樋口家・台所
   小百合、ハッとなり、掴んでいた優希を放す。

小百合「あっちに行ってなさい」

   優希は、指の傷を握って抑えながら、自分の部屋に行く。

○ 同・優希の部屋
   キャラクター物のハンカチを切った指に当てて、泣いている優希。