13-2010 24歳女性、2ケ月前(妊娠17週)より乳房下部や膳周囲に紅斑が出現。その後、胸腹 | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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問題13-2010 訂正後 さらに訂正後
24歳女性、2ケ月前(妊娠17週)より乳房下部や膳周囲に紅斑が出現。その後、胸腹部や四肢に拡大し紅斑上に膿疱を伴うようになった(図4)。生検組織像を示す(図5)。
第一選択として使用可能な治療薬は何か。2つ選べ。
1.エトレチナート
2.ステロイド
3.シクロスポリン
4.メソトレキサート
5.ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)

皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!-図4-2010-13

皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!-図5-2010-13

1.エトレチナート ×チガソン 催奇形性あり
2.ステロイド ○
3.シクロスポリン →○通常は禁忌。ガイドライン参照。
4.メソトレキサート ○→×
5.ジアミノジフェニルスルフォン(DDS) ○→×適応外

キーワード 疱疹状膿痂疹、Kogoj海綿状膿疱、催奇形性

鑑別:妊娠性疱疹、急性汎発性発疹性膿疱症AGEP

10)炎症性角化症と膿疱症

行動目標

1)炎症性角化症・膿疱症の定義・種類・臨床の一般的事項を説明する.

2)乾癬の疫学・病態生理・病態変化を説明する.

3)乾癬の症状・経過を熟知し,症例に応じて適切な指示と治療を実施する.

4PUVA 療法,UVB 療法(narrow band UVB 療法など),ビタミンD3 外用,レチノイド,シクロスポリン療法などの適応,作用と副作用,併用禁忌を説明し,実施する.

5)膿疱性乾癬の臨床・経過・治療を説明する.

6疱疹状膿痂疹および稽留性肢端皮膚炎,角層下膿疱症,好酸球性膿疱性毛包炎の定義・臨床を理解する.

7)掌蹠膿疱症の臨床・経過・治療を熟知する.

8)類乾癬の種類・臨床・病理変化・経過・治療を理解する.菌状息肉症との関連を理解する.

9)扁平苔癬の臨床・病態生理,治療を説明する.薬剤アレルギーとの関連を理解する.

10Gibert 薔薇色粃糠疹の臨床・経過を熟知し,鑑別診断を説明する.

11)光沢苔癬,線状苔癬,毛孔性紅色粃糠疹,Mucha-Habermann 病の臨床を理解する.


(11)水疱症
行動目標
1)水疱症の分類・概念について熟知する.
2)天疱瘡および類天疱瘡の分類,臨床,病理変化,免疫所見を熟知する.また,最近明らかになった抗原物質の性状・表皮の接着機構における役割を知り,水疱形成における関与を考察する.
3)血漿交換療法,テトラサイクリン・ニコチン酸アミド併用療法などの新しい治療法の適応,作用と副作用を熟知する.
4)蛍光抗体直接法および間接法,split skin による間接法,ELISA による抗デスモグレイン抗体検査の意義を理解し,治療を実施する.
5)妊娠性疱疹,瘢痕性類天疱瘡,後天性表皮水疱症,疱疹状皮膚炎,線状IgA 皮膚症などの比較的稀な自己免疫性水疱症の分類,臨床,病理変化,免疫所見を熟知する.

25-2001  http://ameblo.jp/azki3/entry-10542414463.html
 以下の文のうち正しいものを二つ選べ.
a.膿疱性乾癬,疱疹状膿痂疹ではKogoj海綿状膿疱(spongiform pustule Kogoj)を認めるが,Hallopeau稽留性肢端皮膚炎では認めない. ×アロポーでも認める
b.膿疱性乾癬は尋常性乾癬において副腎皮質ホルモン内服が誘因となることがある.  →○
c.妊娠中の疱疹状膿痂疹患者の第一選択薬はエトレチナート(チガソン)である. ×
d.IgA抗表皮基底膜部抗体を示す角層下膿疱症類似疾患がある.  →×表皮細胞間
e.後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に好酸球性膿疱性毛包炎類似の皮膚症状が見られることがある.  →○

95  http://ameblo.jp/azki3/entry-10588013560.html
7.角化症・炎症性角化症
6
汎発性膿疱性乾癬につき次の問に答えよ。
(1)汎発性膿疱性乾癬の最も重要な組織所見を記せ。
Kogojの海綿状膿疱
(2)本症において認められる重要な臨床検査所見を3つ記せ。
白血球増多(核左方移動),血沈亢進(CRP陽性,ASLO値上昇),低カルシウム血症,低蛋白血症など。
(3)汎発性膿疱性乾癬に包括し得る疾患で妊娠にともなうものを何と云うか。
疱疹状膿痂疹
(平成8年出題/27)
解説集

13-2002  http://ameblo.jp/azki3/entry-10538522163.html
 次の疾患に共通してみられる組織学的な所見をあらわす用語を日本語で述べよ.
(1)紅斑性狼瘡、固定薬疹,GVHDの病変皮膚基底細胞に見られる変化.
  →液状変性
(2)疱疹状膿痂疹,掌蹠膿疱症、Hallopeau肢端皮膚炎の病変部に見られる表皮の変化.
  →角層下膿疱 Kogoj海綿状膿疱
(3)アレルギー性皮膚血管炎、アナフィラクトイド紫斑の初期病変部真皮血管周囲の好中球の変化.  →LCCV 好中球破砕性血管炎
白血球破砕性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)

17-2007  http://ameblo.jp/azki3/entry-10526904567.html
組織学的にコゴイ海綿状膿疱を呈する代表的な疾患はどれか.3つ選べ.
a.角層下膿疱症  →○
b.水疱性膿痂疹  →×疱疹状膿痂疹
c.膿疱性乾癬  →○
d.稽留性肢端皮膚炎  →○
e.皮膚カンジダ症  →×

膿疱 pustule
水疱内容が膿性(好中球主体)であった場合は膿疱と呼ばれる.
角層下に現れた小さな膿疱をマンローの微小膿瘍(Munro’smicroabscess)と呼び,尋常性乾癬に特徴的である.
多房性の膿疱は海綿状膿疱(spongiform pustule)と呼ばれる.これはケラチノサイトが好中球浸潤により破壊され,細胞膜が網目状に残存したために起こるもので,膿疱性乾癬などで認められる-コゴイ海綿状膿疱(Kogoj’s spongiform pustule).
なお,後述するポートリエ微小膿瘍は腫瘍リンパ球の浸潤によるものであるため,真の膿疱ではない.
Kogoj海綿状膿疱

ガイドライン46ページ
6.妊婦・授乳婦、小児に対する治療薬選択
概 要: 薬剤の安全使用が大原則であるが、膿疱性乾癬(汎発型)治療は、生命を脅かす全身炎症性疾患であり、妊婦、授乳婦や小児例に対して安全性が確立していない薬剤を使用しなくてはならないことがある。そのような薬剤の使用にあたっては十分なインフォームド・コンセントが必要である。
CQ18. シクロスポリンは妊婦・授乳婦の膿疱性乾癬(汎発型)に有効か?
推奨度 D(添付書の記載) C1(委員会評価)
推奨文 本邦のガイドラインや薬剤添付文書に従えばシクロスポリンは妊婦・授乳婦に対して「禁忌」である。しかし、全身炎症反応によって母体と胎児の生命を脅かす本症では、全身性ステロイド療法が十分に奏功しない場合があり、シクロスポリン投与を選択せざるを得ないことがある。シクロスポリン使用にあたっては、十分な説明の上、本人の同意を得る必要がある。
解 説
欧米では、エトレチナートとメトトレキサートは妊婦や授乳婦に対してclass X「絶対禁忌」に指定されているが、シクロスポリンは安全性についてのデータを欠くclass C 薬剤に分類されている(1)。しかし、本邦のガイドラインや薬剤添付文書では、「禁忌」薬剤に加えられている。
海外ではシクロスポリンを膿疱性乾癬の急性期(疱疹状膿痂疹)の妊婦例に、ステロイドと組み合わせて、あるいはその後療法に用いて奏功し、出産までコントロールできた症例が複数報告されている(2-4)。移植後の妊娠中にシクロスポリン投与を受けた場合に先天奇形を生じるオッズ比は3.83 (95%CI: 0.75-19.6)、発生頻度は4.1%(95%CI:2.6-7%)で、いずれも催奇形性を高めるという証拠はない(5)。
膿疱性乾癬(汎発型)(妊娠時は疱疹状膿痂疹)の全身性浮腫やARDS/capillary leak 症候群を合併するときは全身性ステロイド(プレドニン換算20-40mg/日)を第一選択としたいが、その治療に抵抗性の皮膚病変に対しては、シクロスポリンの投与が必要になる。チガソンやメトトレキサートを敢えて推奨する根拠はない。
抗TNFα製剤はclass B(ヒトへの毒性は知られていない)だが(6)、使用経験は少なく、また、メトトレキサート併用が標準化されると妊婦、授乳婦には使用しづらい。