63-2001  42歳女性,5年前より米粒大程度の紅色丘疹が躯幹(図7a),四肢(図7b)に散 | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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63-2001
 42歳女性,5年前より米粒大程度の紅色丘疹が躯幹(図7a),四肢(図7b)に散在性に生じてきた.瘙痒はほとんどなく、個疹は中央部が結痂して自然消退するが,一方で新生が続いている.表在リンパ節は触れず、血液検査やCT,Gaシンチを含めた全身検査でも異常は認めない.丘疹の組織像で,真皮の血管周囲に図7cに示すような核異型のある比較的大型のリンパ球浸潤が多数みられ,この細胞はCD30陽性を示した.最も考えられる疾患名は何か.

$皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!-図7ab-2001


$皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!-図7c-2001









 42歳女性,5年前より米粒大程度の紅色丘疹が躯幹(図7a),四肢(図7b)に散在性に生じてきた.瘙痒はほとんどなく、個疹は中央部が結痂して自然消退するが,一方で新生が続いている.表在リンパ節は触れず、血液検査やCT,Gaシンチを含めた全身検査でも異常は認めない.丘疹の組織像で,真皮の血管周囲に図7cに示すような核異型のある比較的大型のリンパ球浸潤が多数みられ,この細胞はCD30陽性を示した.最も考えられる疾患名は何か.

リンパ腫様丘疹症


3.リンパ腫様丘疹症、皮膚CD30陽性未分化大細胞リンパ腫
がん情報サービス より
http://ganjoho.jp/public/cancer/data/skin_lymphoma.html#prg5

2つの疾患は、WHO-EORTC分類では皮膚CD30陽性Tリンパ球増殖症(Primary Cutaneous CD-30 Positive T-cell Lymphoproliferative Disorders)と1つの疾患グループにまとめられています。このグループのリンパ腫は、菌状息肉症と比較しても、さらに悪性度の低いリンパ腫です。それでも定期的に専門医の診察は必要です。日常生活に特に支障はありません。
1)症状
リンパ腫様丘疹症(りんぱしゅようきゅうしんしょう):個々の発疹は数mmから10mm程度の大きさの小結節(しょうけっせつ)で、中心にかさぶたやびらん・潰瘍(かいよう)を伴います。大きいもので数cmに及ぶこともあります。数個から数十個、あるいはそれ以上の新旧の発疹が体幹(たいかん)、四肢(しし)に出没します。かゆみとか痛み等の自覚症状は通常ありませんが、びらんや潰瘍があると痛みがあります。個々の発疹は2~3週から6週間で軽度の瘢痕(はんこん)、色素沈着(しきそちんちゃく:しみ)を残して治ります。小児から高齢者までどの年齢でも発症しますが、30~40歳代に多くみられます。例外的な発疹として、褐色調の斑があります。よく見ると、褐色斑の中に小さな丘疹があります。リンパ腫様丘疹症は、数ヵ月から長い場合は40年以上にわたって繰り返し出没します。20%程度が他のリンパ腫と併発したり、進展したりします。併発するのは、菌状息肉症、ホジキン病、皮膚CD30陽性未分化大細胞リンパ腫等です。

皮膚CD30陽性未分化大細胞リンパ腫:発疹は短期間で大きくなる結節で、大きくなるにつれ、中心部にかさぶたやびらん・潰瘍ができてきます。通常は1つだけとか、左腕や右脚といった1つの領域に局在します。しかし、約20%は体中にくまなく多発します。リンパ腫細胞は、近くにあるリンパ節に転移しやすい(10%くらい)反面、リンパ腫様丘疹症のように自然消退(しぜんしょうたい)、再発を繰り返します。
2)治療
リンパ腫様丘疹症:慢性に経過する疾患で、自然に消えてしまうことがあるため、まずは様子をみます。治りが悪い、どんどん殖えてしまうというときに積極的な治療を考えますが、副作用を念頭に置いても有用である場合のみ、治療を選択します。メソトレキセート(methotrexate:MTX)内服(5~20mg/週)、PUVA療法やIFNγ療法、チガソン内服(20~30mg/日)等が有効な治療法です。

皮膚CD30陽性未分化大細胞リンパ腫:病変が1ヵ所に局在していれば、電子線照射あるいは外科的に切除します。多発性であればメソトレキセート(methotrexate:MTX)の内服(5~20mg/週)、IFNγ療法、チガソン内服(20~30mg/日)等、リンパ腫様丘疹症と同じ治療を行います。多剤併用療法は、内臓浸潤が生じたときやメソトレキセートが無効の場合に行います。