「国産初のジェット旅客機MRJ」-15(終)(MRJ量産に向けて)
 
久々の明るいニュースは、遠く離れた下町工場の人たちを奮い立たせました。
 
「実際にパーツを作らせていただくことが楽しみでもありますし、
  そこで万が一、スタートダッシュでつまずきがないように準備をしていくのが我々の仕事の一つです。」
 
シルバー社員と大空への挑戦を続ける加藤製作所の加藤社長は、2020年への期待が膨らみ、
この秋に設備の増設を計画しています。
削り職人を束ねる渡辺精密工業の寺西社長は、ゲージの注文に備えて職人の数を増やすことを決めました。
 
「我々エンジニアとしては、あきらめずにやり続けることがすごく重要だと思うんですよ。
  それがきちんとできるのが日本の強みだと思います。」
 
国産旅客機を開発する半世紀ぶるのビッグプロジェクト。世紀のカギを握る町工場は、
MRJの量産化を見すえて、物づくりの技を磨き続けています。
 
(おわり)

 

「国産初のジェット旅客機MRJ」-14(世界最大の航空ショーに展示)
 
世界最大の航空ショーは、フランスのパリ郊外にあるル・ブルジュ空港で開かれます。
その準備が始まっていました。世界が注目する晴れ舞台で実機が展示されれば、
開発が進んでいることをアピールできます。それは下町工場の願いでもありました。
果たしてMRJは、フランスに来るのでしょうか。
フランスのパリ郊外にあるル・ブルジュ空港。世界最大の航空ショーが開かれる会場です。
 
各メーカーの最新鋭の航空機が並ぶ中、果たして日の丸ジェットMRJはやってくるのでしょうか。
 
「飛行機が着陸しました。ツルのようなスタイリッシュな機体MRJです。今無事に到着しました。」
 
アメリカから太平洋を越えてやってきたのは試作機3号機です。
デザインは一新され、最初にMRJが納入される全日空のカラーに染められていました。
MRJが国際航空ショーに展示されるのは、これが初めてです。
 
「とりあえずこのエアーショーで皆さんに機体を見せることができて、
  一番身近な目的はクリアできました。世界レベルで見ればやっとスタートラインに登場出来て、
  これから我々も頑張れるということを皆さんにご理解できるのではとそう思っています。」
 
パリ国際航空ショーは、航空関係者など、世界から35万人以上が集まる世界最大規模の祭典です。
今回は各メーカー一押しの最新鋭機が130機展示されていました。
小型機市場でMRJのライバルとなるカナダのボンバルディアは、MRJより一回り大きい機種を展示。
機内にカメラが入ると商談が真っ最中で人気があるようです。
一方もう一つのライバルは、ブラジルのエンブラエルでデモ飛行を実施しています。
先端にあしらった白頭ワシのように青空を旋回し、関係者の注目を集めていました。
 
果たして日の丸ジェットMRJの評判は…?。
展示会場に回ってみると何と各国のメディアが殺到していました。
見せたのは外観だけではなく、開発中のコックピットまで見せるサービスぶり。
4面のマルチディスプレーは、操縦性を重視した自慢の設計です。
世界はMRJにどんな評価を下したのでしょう。
 
「とても美しい機体だね。コンパクトなのにダイナミックなデザインで、とても興味深いよ。」
「パリで披露できたのは、とても意義がありますよ。
  MRJにとって大きな節目になったと思います。」
「非常にいい機体だね。小型機市場は成長市場だから、
  MRJの開発が進めば、マーケットにより大きな競争環境が生まれると思いますよ。」

 

「国産初のジェット旅客機MRJ」-13(試験の場をアメリカに-2)
 
立ち上がる白い煙、窓が一瞬に凍りました。
マイナス40℃という寒さの中で、エンジンや電子機器が正常に作動するかを調べているところです。
こちらは照明のようなものがMRJの上を、目のくらむ強さで照らしています。
温度50℃という環境を作り出し、耐久性を調べるテストを行っているところでした。
いずれの試験も問題なくクリアしました。
 
「想像をはるかに超えるボリュームのデータを取得されて正直驚きました。」
 
視察の最終日、MRJの飛行試験が見られるようになりました。姿を現したのは3号機です。
加速に問題はありません。そして飛びました。視察団から思わず拍手が沸き起こりました。
 
「いや、すごいですね。あれだけの姿勢でテイクオフするとは思いもしませんでした。」
 
この時迷いが消えたと山口社長は言い、MRJの量産化までは、
他の部品で経営をつなぐ決心を固めたといいます。
開発の遅れを急ピッチで取り戻すMRJですが、
それを示す絶好の機会として三菱航空機が打ち出したのは、
パリで開かれる国際航空ショーでの実機の展示です。
 
「どれかの機体を持っていこうと今準備に入っています。」