「もう一つの人類」-7(ジャワ島とフローレス島は激しい海流がはばむ)
 
「このジャワ原人がホモフロレシエンシスに進化したとは必ずしも考えられません。
  フローレス島に一番近くて人類がいたのはジャワ島ですから、
  西の方から東の方へやってくればいいわけなんですが、そうすると障害があるんです。
  ジャワ島とフローレス島の間には、海流が流れています。北から南に流れる激しい海流です。
  ジャワ島から渡ろうとしても南への海流に押し流されて、直接フローレス島に行くというのは、
  非常に難しそうなんです。」
 
ジャワ原人にとって、この海流に逆らってフローレス島にたどり着くには、
極めて難しかったのではないか。
また数万年周期で訪れる氷河期には、今よりも海面が130メートル低かったと考えられていますが、
フローレス島とジャワ島は、陸続きにはなりませんでした。深い海が2つの島を隔てていたのです。
 
そこで馬場さんは、西からではなく北から海流に乗って流れ着いたのではないかと考えています。
 
「航海の技術を持っていたのではないかと思われますが…。」
「それはないですよね。何十万年か前には、そんなことはありませんから…。
  最近でも大きな地震があって津波がありましたよね。流された人が木などにつかまって、
  1週間くらい生きていたということがありました。当時同じような現象があったとすれば、
  海流に流されて南の方にやってくるだろうと。西から東へは考えにくいということなんです。」