「光合成環境より葉面積が重要」
 
作物の光合成量を増すには、最適な環境を提供することです、とあります。
光合成量を確保するには、炭酸ガスを施用することよりも、もっと重要なことがあります。
それは葉面積を十分増すことですと…。
 
仮に1枚の葉の光合成速度が100であったとすると、葉が3枚ついていたとすると、
その光合成量の合計は300となります。
しかし、環境が最適ではなく1枚の光合成速度が70だったとしても、
5枚の葉があれば合計350となり、前記の3枚を上回ることになり、
トータルでは光合成量は多くなるのです。
 
葉面積指数(LAI)というのがあります。
それは作物の葉面積を表す指数で、圃場面積当たりの葉の総面積を表すものです。
例えば一株全ての葉の面積が合計で1.5平方メートルある植物が、
1平方メートルの土地に2株あれば葉面積指数は3平方メートルになります。
しかし、葉面積指数が増えるほど作物の受光量も増えそうですが、
一定以上増えると重なり合った下の葉には光が当たらなくなります。
トマトでは葉面積指数が3~4、キュウリでは2くらいで、約90%の光が植物に吸収されます。
 
葉面積を求めるには、次の式で概算します。
葉面積指数=完全展開葉1枚の面積(平方センチ/葉)×株当り葉数(葉/株)×栽植密度(株/平方メートル)
 
トマトの場合、完全展開葉1枚の面積は、500~1000平方センチの範囲になります。
例えばある品種を栽培した時、完全展開葉1枚分の面積が800平方センチであったとすると、
10a当たり2500本定植し、一株当たり18枚を残して摘葉したとします。
この時上部5葉が未展開葉だとすれば完全展開葉は13枚となります。
上部の5葉の合計面積葉の約2枚分と計算し、株当たり葉枚を合計15枚とすると
葉面積指数=800平方センチ×15枚×2500本/10a=3.0と計算できます。
 
葉面積の調節の仕方:葉面積指数は時期(光の強弱)によって決まり、
おおよそトマトでは、光の強い時期にはLAI4~5。弱い時期には3くらいがベターです。
光の弱い時期に葉面積が多すぎると下の方の葉は光合成せず、呼吸消耗だけをします。
よって葉面積指数は、栽培密度か摘葉の加減で調節する必要があります。
 
栽植本数を10a当たり3000本とした場合は、同じく18葉残すと葉面積指数は3.6になります。
一方栽植本数は10a当たり2500本のままで少し多めに摘葉して15枚残す管理をすれば、3.4となります。
葉面積指数管理は、まず栽植密度を決め、栽培途中では摘葉で調節します。
注意点は、葉面積が十分に増えるには、日数がかかることです。
適正な葉面積指数の期間が少しでも長くなるように、栽植密度を決めることが重要です。