「発酵食品」-5(味噌ができるまで)
 
味噌は、大豆と糀(こうじ)と塩からできています。
蒸した米に糀菌を混ぜる糀づくりは温度と水分調整が難しく、味噌づくりの要となり、
職人の腕の見せどころです。
糀(こうじ)の手入れをして、大事に布団がかけられ、適温に保たれて糀は成長します。
子供を育てるかのようなこの一連の作業を「糀のお子守り」といわれています。
 
味噌の本場信州の手づくり職人と、伝統的な製法「箱盛り糀」を追います。
 
●信州の名工が語る手づくり味噌
まるゆき信州味噌づくりを守る中村醸造場の3代目中村さんは、
90年以上の伝統の製法を守り続け、卓越した技術者のみに許される、
「信州の名工」にも選ばれています。
 
中村さんには面白い話があります。
大学卒業後、すぐに味噌づくりを継いだようです。
省力化のためにと業者さんからステンレスの箱に扇風機のついた機械があるからと 
勧められ、勧められるままに機械を買い味噌づくりを始めたそうです。
ある日お得意さんに「お兄ちゃんの代になったら違うね」っていわれたんだそうです。
どう違うのかと聞くと「普通の味噌になった」と。
中村さんは、近代的な容器の使用と機械化したことを悟り、機械はすべて処分して、
伝統的な糀箱に切り替え、より一層伝統的なつくりにこだわるようになったといいます。
お得意さんの一言、お客さんの舌はごまかせなかったと気付いたのだそうです。
確かに「自分はだませても人はだませない」の例えでしょうか。
 
手づくり味噌は、大豆や米の作柄や天候で同じ味噌にはならない。
長年のお客は、年ごとの味を楽しんでおられるということです。
100軒だったお得意さんも今では5000軒までになったのだとか。
 
●信州の手造り味噌の伝統製法を見てみます。
*米蒸し:信州で開発されたうま味が強い糀菌を使用します。
*手入れ:糀菌をよく混ぜ合わせます。
*箱盛り:箱盛り糀製法は、作り方が難しく継承するところは数が限られています。
*差し替え:湿度や温度などによって箱の位置を入れ替えて調節します。
 
*大豆蒸し:大豆はうま味が逃げないように加圧窯で蒸します。
*豆漬し:水に漬します。
 
*仕込み:米と大豆のそれぞれの作業が終わると仕込みにかかります。
     大豆・糀・塩をよく混ぜ合わせます。
*熟成:一般的な商品は2~6ヶ月。中村醸造場では7ヶ月~1年。
*箱盛り糀を使用した味噌のみを手造り味噌と呼ぶことを許されているのだそうです。