「マイクロRNAでガンの早期診断」-9(終)(ガン早期診断への見通し)
 
「冒頭に出てきた一滴の血液だけでガン診断ができるというもの?」
「そうですね ガンになるとガン特有のマイクロRNAが 患者さんの血液中に出てきます
 これを利用して新しい診断に取り組もうとしているんです
 健康な人にはこのマイクロRNAはほとんど見つかりません
 ところがガンになるととても増えるんです
 例えばこのガンを手術で取ったとします 術後ある一定期間必要ですが
 正常なレベルに戻るんです 残念ながらまた再発した場合は
 マイクロRNAが血液中に出てくる つまり血液中のマイクロRNAを調べるだけで
 その患者さんの中でガンがどのような振る舞いをしているか
 手に取るようにわかるということです」
「敏感にマイクロRNAの量が変わるんですね」
「現在でも腫瘍マーカーを調べてガンを調べたりしますが それとは違うんですね?」
「はい 腫瘍マーカーというのは 優秀なものがたくさんあります
 でも実際そうした腫瘍マーカーというのは ガンがある程度大きくなって
 ガン細胞が死んで その結果患者さんの血液中に出てくる 残念ながらガンが早期で
 ガン細胞があまり死なない状況ではなかなか見つけられないんです
 ところがまだガン細胞が小さい初期の頃であってもコミュニケーションしています
 血管内皮細胞にマイクロRNAを届けて
 その結果を引き込んで別な遠隔地の臓器に転移していく
 そういうこともしたり あるいはガンを攻撃しようとやってきた免疫細胞に
 ある特定のマイクロRNAを送り込んで ガン細胞を撃退するということもしているんです
 ですからコミュニケーションをするマイクロRNAを使えば
 新しいガンの早期診断ができるということなんです」
「ガン細胞がマイクロRNAを使ってコミュニケーションをとっているお陰で
 早期診断ができるというわけなんですね」
「我々人類はそれを逆手にとって 今後はガン細胞に仕返しをしようということなんです」
「実用化はいつごろになりそうですか?」
「実際に13種類のガンすべてがマイクロRNAで診断できるようになるには2020年くらい
 そんなところを目途にしています 我々の基礎研究から乳がんをはじめとした
 いくつかのガンは こういった新しい診断が可能であるので
 もう少し早いかもしれません」
「例えば大腸や胃の内視鏡検査を あるいはCTスキャンをやったり
 臓器ごとに調べないといけませんね これが血液一滴で分かってしまうということは
 すごいことですね」
 
(おわり)