「マイクロRNAでガンの早期診断」-7(ガン抑制遺伝子p53と34a)
 
国立がんセンター研究所の土屋さんたちの研究グループは、
ガンの増殖を抑えるマイクロRNAを見つけました。
際限なく増殖するガン細胞。増殖が制御できないのは、
多くの場合p53という遺伝子が壊れているからです。
細胞の異常な増殖を抑えるp53は、ガン抑制遺伝子と呼ばれ、
ガン研究では長く注目されてきました。
そこで土屋さんたちはp53とともに活性化するマイクロRNAを探しました。
用意したのは大腸がんの細胞です。ここに抗ガン剤を加えます。
すると増殖を抑えるp53が活性化します。
そして、抗ガン剤を加える前後のマイクロRNAの量を測ります。
調べたのはおよそ170種類のマイクロRNAです。
増えたのは7種類で、その中でp53と関係が深いと注目したのが、
マイクロRNA34aというものでした。
p53の活性化とともに増えたので、逆にこのマイクロRNA34aを加えればp53が活性化し、
異常な増殖が抑えられるかもしれないと考えました。
土屋さんたちは大腸ガンにマイクロRNA34aを加えて様子を見ました。
マイクロRNA34aを投与しないと大腸ガンの細胞は急激に増殖しますが、
投与した方はほとんどガンは増殖しませんでした。
マイクロRNAによってp53が働き、ガンの増殖が抑えられたと考えられます。
 
生体内でも同じことが起きるのか? マウスの背中に人の大腸ガンの細胞を移植し、
マイクロRNA34aの効果を見ました。
ガン細胞を移植して14日目、マイクロRNA34aを投与しなかったガンは、
大きくなっています。
一方マイクロRNA34aを投与したガンは、それほど大きくなっていません。
生体でもガンの増殖が抑えられることが分かったのです。
2007年、土屋さんたちは論文として発表しました。
マイクロRNAがガン治療に使える可能性があることを示した世界最初のものでした。