「自然農と生態系」-5(生態系の平衡と物質循環)
生態系もさまざまで、長年保たれ安定した生態系もあれば、荒廃した生態系もあります。
では生態系の平衡(バランス)とは、どういうものなのでしょうか?
生態系を構成する各構成要素間のつり合いがよく取れ、構成種が多いほど、多様なほど、
安定します。
*安定した生態系とは、生育する植物の種類も豊かで、それを食糧として生活する、
動物の種類も多く、また量的にもバランスが取れている状態をいいます。極相林など。
*荒廃した生態系とは、山火事や工場排煙などで植物が枯れてしまった場所などです。
植物の種類も少なくまばらで、動物もごく小型の昆虫などで、しかも種類も少ない。
これらによって上位の肉食動物がいないため病虫害が発生しやすく、
生態系は大きく変動しやすいため、非常に不安定です。
*農耕地はどうでしょうか? 田や畑や植林された山地は、種類が少ないという点では、
荒廃した生態系によく似ています。それを補うために殺虫剤をまいたり、
肥料を与えたりして管理されているので、安定を保っているに過ぎません。
もし田畑が放置されれば、たちまち特定の植物が入り込み、特定の昆虫などが、
異常発生したり病気をもたらして荒廃してしまう恐れがあります。
生態系の中で、植物は大気中の二酸化炭素(CO2)と根から吸い上げる水と、
太陽の光エネルギーを利用して、光合成を行い、体内に必要なデンプンを作って成長します。
また消費者への食糧としても提供されます。
光合成によって植物体内に取り込まれた炭素(C)は、その葉などを食べる草食動物や、
その草食動物を食べる肉食動物にエネルギー源として受け継がれ、
それぞれが活動エネルギーを使い果たし、呼吸によって炭素は、二酸化炭素(CO2)となって、
大気中に放出されます。
また植物や動物たちの遺体や排泄物は微生物の分解や呼吸によって大気中に戻されます。
これを「炭素(C)の循環」といいます。
もうひとつ生態系の中で循環しているものとして窒素(N)があります。
光合成植物の遺体や、根に共生する根粒菌を持つマメ科の植物、
そして光合成植物を食べる動物の遺体や排泄物を、土壌中の微生物(土壌細菌、硝酸菌、
亜硝酸菌など)が、アンモニア化作用や硝化作用によって硝酸塩に変えられます。
植物の核酸やタンパク質など、窒素をふくむ化合物は、窒素(N)が欠かせません。
窒素(N)は、根から吸収されて再び植物体内に戻っていきます。
これを「窒素(N)の循環」といいます。
