「山形ガールズ農場の取り組み」-3「新人さんの大奮闘」


「山形ガールズ農場」は、生産者と消費者の顔が見える関係を作っていきたいといいます。
それは生産者だけではなく、自分たちで顧客を開拓し、販売も手掛けるということです。


5月末、仙台で開催された農産展にガールズ農場のメンバーの姿がありました。
販売スタッフは入社4年目の奈須野さんと新人の平元さんです。
可愛いパッケージの2合入りのおコメやガールズ農場の野菜や、

果物を使ったプリンやクッキーなど。
商品の加工やパッケージのデザインも、全て自分たちでこなします。


「直接販売しないと評価が得られないし、お客さんとのコミュニケーションもとても大事です」
とは奈須野さん。
「今日の相棒はやってくれそうですか?」とはインタビューアー。
「未知数です」奈須野さんは正直です(笑)


新人の平元さんは、空手のたしなみはあるようですが、何しろ入社2ヶ月、

おまけに忙しい時期で、
足腰の疲れはピークに達しています。まして接客の経験もありません。
元気のない後輩に先輩がアドバイス。
「接客は笑顔でじゃぁないですか。笑顔で元気にしていれば人は寄ってきます」
「メッチャ緊張しています」


「え~ クッキーが新商品で…」 あ、逃げられてしまいました。
笑顔でと先輩のアドバイスも緊張のために表情が硬く客は足を止めてくれません。
奈須野さんの自然の笑顔とは対称的です。
ガールズ農場の酒粕を利用したお酒ですが、新人さんはこれもうまく説明ができません。
ますます落ち込んで表情は硬くなる一方。うまく行かない。
「こんにちわ~」「いらっしゃいませ~」
元気のない声で呼びかけてもお客は見向きもしてくれません。先輩は順調に販売しています。


あ、お客が足を止めました。新人さんは思い切って声を掛けました。
「ためしに飲んでみることもできるので、お気軽に。ジンジャーの香りがするんですけど」
「飲んでみてもいいですか?」
「はいどうぞ」 試飲の勧めをきっかけにお客とのコミュニケーションを取ることができました。
少し自信がわいてきたようです。
「リンゴとニンジンのジュースです」「あ、はい、ありがとうございます」1本売れました(笑)


お米にお客が…。「はい、2合です。1つ380円です」 お客は買うのをためらっています。
平元さんは食い下がります。
「いつも食べられているお米とちょっと違うので、1回食べてみるとこの美味しさが、
 忘れられませんよ。きっと」
「では、これとこれを」
「はい、ありがとうございます」自分の接客でお客が納得してお米を2つ使ってくれました。
やった~vv 彼女に自然の笑顔が出てきました。


中にはこんなお客も。
「ひとついかがですか? ソバの実を使ったクッキーです」
「あなたかわいいわ」
「そこほめられるとは思いませんでした。あははは」
「なんていわれたの?」
「顔立ちがはっきりしていてかわいいっていわれました。自分でいいたくないですけど…。
 でも商品可愛いっていって欲しいです。せっかく皆が頑張って作ってくれたので」


お昼時になるとガールズ農場のお店も大忙しになりました。
「あ、ありがとうございます」
新商品のクッキーとクラッカーは、女性たちに大好評です。
ガールズ農場のオリジナルの野菜プリンは、何と完売。
試食したお客からは感想も。
「あたしにはちょっと塩辛い」
「あ、そうですか? ありがとうございます」
目の前でいわれた正直な感想に、平元さんはお礼を言って早速メモを取りました。
「結構こういう時に美味しいと言ってくれる人が多いと思うんですが、
 あえて意見を言って下さってとても貴重だと思います。
 試作段階では気が付かなかったことなので、とてもうれしいです」


新商品のクッキー、クラッカーも見事に完売しました。
パチパチパチ「完売で~す。すごい、やった~!」
「作って終わりではなく、お客様の口まで届く責任を持ってということが、
 すごく重要だと思うので、やっぱりお客と触れ合っていく。お客を呼び込むとか、
 販売に参加するとかやり取りを大事にしていきたいと思います」


新人平元さんにスポットをあてたコナーでしたが、農業1年生がこうして育っていくんだなって、
とてもうれしく、農業の未来を背負っていく人だと感じました。