「砂漠に用水路を建設した医師」-3(緑の大地計画の立案)


アフガニスタンに平和を取り戻すには、まず農民を再編しなければなりません。
中村さんが目をつけたのは、干ばつの間でも枯れることのないクナール川でした。
この水を引き込むことができれば、乾ききった大地に緑を呼び込むことができる。
中村さんは、用水路を作ることを決意しました。現地の人との検討会がはじまりました。


もともと医師で土木の知識の全くない中村さんは、ゼロから河川工学を学び、
用水路の計画を練り上げました。
できた計画案を現地の人に見せると賛同してくれました。
「クナール川・緑の大地計画」はこうしてできあがりました。
中村さんの考えた用水路プラン「緑の大地計画」です。
クナール川から引き込んだ水を乾燥地帯に誘導し、最終目的地ガンベーリー砂漠まで注ぐ。
その長さは25.5キロメートル。完成すれば毎秒6トンの水が取り込める計画です。


2003年3月、水路建設が始まりました。
工事のうわさを聞いて人々が集まってきました。
元タリバン兵もいれば、かつてはアメリカ軍に協力した兵士もいます。
パシュトゥーン人もタジュク人もいました。立場や民族を越えて水路建設に向かいます。
「わたしたちの将来がかかっている、だから頑張れるんです」
「用水路ができれば暮らしはよくなります。日本人がやろうとしていることは素晴らしいことです」
人々は真剣にそう語ります。


資材倉庫に入ると並んでいるのはハンマーやツルハシで人力による道具ばかり。
掘削機やクレーン車などの重機は一切見当たりません。
現地の人々が自分たちの手だけで水路を維持するようにしたい。
中村さんはできるだけ機械にたよらない方法を採用しました。
そのために利用したのが、日本の伝統的治水技術でした。