「耐塩性作物」-4(耐塩タンパク質の役割)


ナトリウム(塩分)は、人間や動物にはとても大事なものですが、
ところが植物はナトリウムは全然必要としないのです。
本来なら植物を枯らしてしまうようなものを、逆に細胞内に入れることで、
耐塩性イネが塩分に強くなる?
なぜナトリウムを取り込むと耐塩性が高まるのか、HKT-1(タンパク質)の謎解きです。


東北大大学院・魚住さんは、HKT-1を最初に解き明かした人です。
植物にはナトリウムを必要としないのに、
なぜ塩分を細胞内に取り込むHKT-1が必要なのか不思議だったといいます。
普通だったら細胞内に塩分を取り込む輸送体がない方が理屈にあいます。
そこでHKT-1を人工的に取り除いたものと、自然界の植物を同時に塩水に浸してみたところ、
傷んだのは、HKT-1を人工的に取り除いたものだったのです。


根から吸収した水分などは、道管という組織に取り込まれます。
そして道管と細胞との隣り合わせの部分にHKT-1が現われ、

ナトリウムを細胞内に取り込みます。
ところがHKT-1を欠損した株は、ナトリウムが細胞内に入れないため、
道管内に溜まった状態になります。
HKT-1というたんぱく質は、道管と細胞の中で浸透圧バランスを取っているようです。
浸透圧バランスとは、塩分濃度の高い方へ成分は流れますので、
細胞内の水分は塩分の高い道管の方へ流れるため、細胞内が脱水状態になって枯れるのです。
ナトリウムを必要としない植物でも、HKT-1があるために細胞内の脱水がまぬがれていた、
ということになります。


先の高木さんの作り出した耐塩性のイネは、普通のイネよりもHKT-1が2倍以上も、
多いことを示していました。
オーストラリアでもHKT-1の高い小麦を掛け合わせた品種の収穫量が、

25%高まったといいます。