「レアメタル・レアアース」(Ⅲ)
ある企業が新しい磁石合金を開発したと発表しました。
産業用ロボット向けの磁石合金で、ジスプロシウムを使わなくても産業用ロボット磁石の製造が、
可能になったというのです。これによって3割のコストダウンにつながるとか。
ジスプロシウムはハイブリット車モーターには欠かせないものでしたが、
今後、車価格の低下も期待できそうです。
ジスプロシウムは磁石の断熱性を高めるため、
ネオジムや鉄でつくる磁石合金の添加物として、欠かせないものとされてきました。
ジスプロシウムの添加率を上げると断熱性が高まります。
産業用ロボットのモーターに組み込まれる磁石は、
重量ベースで3.5%程度ジスプロシウムを含ませます。
今回これを不要としたのは、特殊な熱処理によって、結晶構造を変えたことにあるようです。
それによって同等の強度も保持されました。
ジスプロシウム・ゼロを可能にしたこの磁石合金は、すでに量産体制を整えました。
ネオジムや鉄を主原料とした高性能磁石の世界市場も大幅に拡大が見込まれています。
ジスプロシウムの価格は1キログラム当たり6万~7万円。
鉄は同100円、ネオジムは同1万円前後ですので、
ジスプロシウムがいかに高価かがわかります。
産業用ロボット向け磁石合金は1キログラム当たり1万円程度です。
今回某企業が開発した磁石合金を使えば、従来のものより3割程度安くなります。
今後も風力発電向けや産業用ロボット向けを中心に、
高性能磁石合金の需要が高まると見て、さらなる量産を見込んでいます。
高性能磁石合金では世界シェア約25%を持つこの企業は、さらなる研究を進めるようです。
また別な企業もジスプロシウムを従来よりも少量添加を可能にした磁石合金の販売に切り替え、
さらに研究を進めています。
こうした研究は、磁石メーカー各社が取り組んでおり、レアアース使用削減を急いでいます。
(おしまい)
