「もうふたごなんていやっ!」(Ⅱ)


こんどはななえのじゅんが、まくしたてました。
「そうよ、思っていることも同じってよくあるわ。このあいだ ”嵐”のことをいおうとしたら、
 じゅんじゅんも”嵐!”って同時にいうんだもん。
 そうそう、ジャンケンだって、なかなかけっちゃくつかないんだから、もうやんなっちゃう。
 お母さん、どうしてくれるの?」
「はいはい、ごめんなさい」
お母さんはお嬢さま育ちでことばはやさしいけれど、これでけっこうしんは強い。


「あなたたちが同じことを思ったり、ぐうぜんがかさなるのは、一卵性双生児だからですよ」
「やだぁ~ ソーセージだなんて、お母さんのエッチ!」
「なにいってんの、あなたわ」
お母さんは「こまった子たちね」という顔をしている。
「このあいだけんじったら、じゅんじゅんじゅんばん、ならんでならんで、おりこうさん。
 なんていいやんの。バッカにするんじゃねぇっていってやったよ」
「なんて口のきき方をするの、あなたは、女の子でしょ」
「だってぇ」
「こんどそんな口をきいたら、お母さんしりません」


「おっ! いま帰ってやったぜ!」
お父さんのお帰りです。なぜだかお父さんは「いま帰ってやったぜ!」という。
「おっ!」「おっ!」
じゅんとじゅんじゅんは、同時に立ちあがって同じことをいい、
顔をみあわせて、また同時に「やだぁ」「やだぁ」といってすわりなおした。
「あははは、よく気があうなぁ。おれのよめさんになってくれよ」
お父さんはふたりの顔をみながら、笑いながらいった。
「お母さんはどうするの?」
じゅんがきくとお父さんは、
「おお、ばあさんか、となりのけん坊にくれてやっか」
お父さんは、お母さんを犬の子のようにいっているが、ほんとはお母さんを愛してる。
「あたし…」「あたし…」また同時にいって顔をみあわす。
「なんでぇおめえたち『あたしがいるもん』っていおうとしたんだろっ!」
ってお父さんがいうとすぐ後に、
「ピンポン」「ピンポン」
「もお…」「もお…」
お母さんはあきれたといった顔で、
「オウムがいたらもっとにぎやかね」といって「ふふ」と笑った。