美玖side
嫌な予感しかなかった。小坂さんは真面目だから、いつも時間通りに来るはずだったのにまだ来ない
風の噂でファンクラブらしき人が小坂さんを虐めていると耳にしていた。詳しく聞きたかったけど一言も話してくれないし目も合わせてはくれなかった
普通の人ならば、ここで恋を諦めるが私はそれでも小坂さんの事を愛しているから諦めるという文字は浮かばなかった
「あの時…LINEするんじゃなかったな…」
まだ小坂さんの意識は戻らない。命に別状は無いとはいえ私の責任だ…
痛々しい傷が所々包帯越しに見えてくる…
彼女が目を開けたならば、まず最初に何と言ようか…
「小坂さん…目…開けてよ………」
ピッピッと心電図の音だけが病室に響いた…
~翌日~
「…美玖…小坂さんの事、聞いたよ」
「……今は一人にして」
「美玖っ!」
こんな状態で授業なんか受けれる訳ないだろ
小坂さんを殴った犯人達は警察に突き出し、この事件は幕を閉じた。あれから3日経過したがまだ目が覚めない
「そろそろ菜緒の誕生日だね…」
手にハンドクリームを塗っていると、ピクッと微かに動いた気がした……
「……ぁ…」
「…!小坂さん…ここ、分かる?」
「コクコク…」
「とりあえず先生呼んでくるね」
色々処置が終わるまで病室の外で待っていると十五分後、先生達が出ていった
「もう大丈夫ですよ、意識もしっかりしているし。何も異常がなければ今週には退院出来ると思います…」
「ぁ…ありがとうございます」
病室に戻ると酸素マスクではなくて、鼻にチューブを付けているけど話が出来る状態で嬉しかった
「金村さん…」
小坂さんの声だ……やっと、帰って来たんだなと実感した瞬間だった
「本当に良かった……」
力入れたら傷が痛むからそっと抱き締める…小坂さんの匂いをこれでもかというくらい吸う
「もぉ…恥ずかしいから、あんまり匂わないでよ…」
「だって、嬉しいんだもん…」
「…ちょっとだけやからな…」
そう言って、抱き締めてくれるから嫌がってないの可愛いな
「あのね……小坂さんを殴った犯人はもう学校には居ないから安心して欲しい」
「…分かった」
「あの時、小坂さんにLINEしてなかったらこんな事にならなかった。本当にごめん…」
「…金村さんは謝らんでええ。私が謝らなアカン…金村さんの事、無視したりしてごめん」
「それは仕方がなかったじゃん…私は気にしてないよ」
「嬉しい…金村さんに嫌われたら嫌だもん。これからも友達として接してくれたら嬉しい」
「嫌だ…」
「ぇ…?」
「友達の関係って嫌だ…私は、小坂さんの事が好きなの!友達としてじゃなくて、一人の女性として好きなの……だから、私と付き合ってくれませんか?」
「…私なんかで良かったら…」
「小坂さんじゃないと嫌だ…」
「嬉しい……なぁ、さん付けやなくて…下の名前で呼んで欲しいん…やけど」
「っ…い、今?」
「うん…うちも下の名前で呼ぶから」
「…ぁ…う……菜緒」
「…美玖…っ//恥ずかしいな」
「菜緒…その顔、あんまりしないで」
「…ん?何で…」
「キス……したくなるから、やめて」
「…っ…別にしても、、ええよ」
「菜緒は今病人だから安静にしないといけないでしょ?退院したらでいいと思うんだけど…てかそうしないと抑えられない」
「ホンマ、しょうがないなぁ…頬っぺたにしてあげるわ。それならええやろ?」
天使の笑顔のはずなのに、小悪魔の笑みに段々見えてくるのは何でなんだ???
「退院の時…楽しみにしとくわ…」
菜緒の笑みに殺られた…深く鋭く刺さって、一生消えない傷跡が出来そうだ
「皆、おはよー」
「出た笑…おしどり夫婦。今日も仲良く手を繋いで登校ですか」
「うるさい、ひよたん」
「ええやん…夫婦って。大学卒業したら結婚しよ?」
「…なっ//」
「「(σ´³`)σヒュ〜♪結婚しちゃえ!」」
「もう…からかわないでよ!」
「美玖…うちは本気やからな」
そう言って軽く頬っぺたにキスをした君は、18歳とは思えない程魅惑的な笑みをして席に向かった
きっと菜緒は、何歳になっても私をこうやって振り回すんだろうな…
菜緒の首には、私がプレゼントしたネックレスと私がつけた跡が視界に入った。まるで、周りの皆に見せつけようとするかのように…
菜緒の笑顔は、いつだって私の心を満たしてくれる
理性が限界に近付いたから、そっと菜緒の近くに行き耳元で囁くと顔を真っ赤に染めて俯いてしまった
何て言ったか教えてあげようか?
これ以上煽ったらこの教室で襲うからね…?
完結
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naomiku-0710さん、リクエストありがとうございました!遅くなってしまって申し訳ありませんm(_ _)m
結構なおみくのリクエストが多いので、他のCPより書きやすかったです。日向坂だったらこのペアが大好きなので、書けて良かったです
甘々な菜緒さんを上手く書けましたかね…?
少しでも思っていた菜緒さんに近付けられてたら嬉しいです
※次の小説は、調教系の小説を2本出します
1本目はリクエストが多かった未央奈×飛鳥
2本目は橋本×深川
このペアで、2本共調教系の小説を投稿した後続いてのリクエスト小説を書いていきます
調教系の小説は全てアメンバー限定小説とさせて頂きます。
私に公開してフォローをして頂かないと確認出来ませんので、ご理解とご協力の程宜しくお願い致します
この小説のコメント欄に書いて頂いて構いません。
では、また
犬八 十夢