金村said



今日はライブリハーサル初日。朝早くからスタッフが走り回って、忙しそうにしている。


「おはよう〜」


「おはよう、おすし」


日向坂の楽屋に入ると既に何人かのメンバーがメイクを始めていた。

「リハ、頑張ろ」


「頑張ろう、丹生ちゃん」


「今日ライブの半分位まで確認するみたいだよ」


「そっか…お互い体調とか気を付けてやろう!」


「だね」

ライブのリハーサルはとにかく大変だ。1日1日が違う曲だから、全部覚えないといけないし立ち位置やMCの事も覚えないといけないから過酷だ。

リハーサルが始まり1時間程経つと、段々と疲れてくる。特に体力のない私は息が上がって、汗が凄いことになってた。


「……リハ、疲れたぁ……」

そんな呟きをしながら、楽屋の椅子に座り水を飲む。

「大丈夫?美玖」 


「……何とか大丈夫。ありがとう」


「無理しちゃダメだからね!」


「うん。分かってるよ鈴花」

心配そうに見つめる鈴花に笑顔で返事をする。私は今ライブのセットリストや振り付けなどを覚え、必死に練習しているけど、まだ体力が追い付かなくて……。鈴花がいなかったら、今頃倒れていると思う。本当に感謝だ……。

「そろそろ時間だね、リハーサル再開しまーす!!」

スタッフさんの掛け声でみんな再び配置につき、練習を再開した。そして、そのままお昼休憩に入ることになったんだけど、菜緒の姿が見えないから探していると、

「美玖〜!!」

鈴花が遠くから手を振り私を呼んで、駆け寄ってきた。そして、私に抱きついてきた。

「ちょ……鈴花……暑い……」


「暑いとはひどいな笑。愛の抱擁じゃん」 


「はいはい。それより、どこ行ってたのよ」


「菜緒のこと探してたんだよ」


「え、どうして?何か用でもあった?」


「ちょっと用事あって……でも、後ででいいや……」

と苦笑いした。

「そ……そう?ならいいけど。早くご飯食べに行こう」


「うん」


「じゃあさ、美玖に聞きたいんだけどさ、最近なんかあったりしない?」


「え?何でそう思うの?」


「私の勘だけど…最近菜緒忙しくしてるからさ」

菜緒は最近ドラマの撮影場所や外番組に引っ張りダコで休んでいる姿を見たことが無かった。菜緒にもしもの事があったら、リハーサルに集中出来ない。今日のリハーサルも菜緒は仕事の都合上休んでいる。

メンバー全員揃うのは明日になる。

「菜緒なら大丈夫だよ、信じよう」


「うん…」


「早く行かないと弁当無くなっちゃうよ」

私は鈴花の手を引き、楽屋へと戻って行った。

「二人共遅い〜先食べてるよ」


「久美さん、すみません」


「ちょっと美玖と確認したいことあったんで遅れちゃいました」


「それなら、仕方ないけど根詰めたらダメだからね」


「はぁ~い」


美玖と私は椅子に座り、弁当を食べ始めた。菜緒は今頃、何を食べているんだろう……

今、凄く菜緒に会いたい気分だ。

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菜緒視点



私は今、ドラマの撮影中。朝早くからスタジオ入りをし、撮影が始まった。

「カット!!はいOK!!」

と監督の声が響き、私は安堵のため息をついた。帰り支度を始めた時、携帯が鳴った。見てみると美玖からの着信だった。まだ時間はあるので電話することにした。少しして美玖は電話に出た。

もしもし?菜緒、お疲れ様』

「お疲れ様。どうしたの?」

『うん…ちょっと菜緒の声が聞きたくて電話掛けちゃった』

と少し照れたような声で私に言ってきた。

最近、外仕事で忙しく、美玖とあまり話せていなくて凄く寂しかった。だからか、凄く嬉しい。

「明日私もリハーサル参加するから、明日まで我慢してや」


『うん。分かった』 


そうは言ったけど、我慢出来ずつい言ってしまった……。

電話を切りスタジオを後にした。

次の日、リハーサルも順調に進んでいる。美玖はソロパートを歌い、振り付けの確認をしている。私はその様子を舞台袖から覗いていた。すると、美玖と目が合った。

そして、リハーサル終了後美玖はこちらに駆け寄ってきた。少し疲れが顔に浮かんでいるように見えた。私はすぐに駆け寄って声をかけた。

菜緒は心配そうな顔で見つめ、私の額に手をあてる……。その仕草がすごく優しくて、つい胸が高鳴る……。

「昨日ちゃんと寝れた?」

と聞かれ、私は慌てて答える。


「うん!寝たよ!!」


「そう?ならいいんだけど……あまり無理しない方がいいよ」


「分かっとるよ~」


と笑顔で答えたら、何故か美玖が心配そうな顔をした。

「美玖こそ、あんま無茶したらアカンで」


「うん。ありがとう〜大好き」


「はいはい…さっきからコソコソしよるけど何かしとる?」


「……!別に何もしてないよ」


「ふぅ~ん、まぁ…ええわ。はよリハ戻るで」


「は〜い」


美玖は何事も無かったような顔で楽屋に戻っていった。その後、私から少し離れて歩いていた美玖が私を見て微笑んだ。その顔は何かを隠している顔に見えた。でも、今はリハーサル中……集中しないといけない。そして、ライブを無事に終わすために頑張らないと。

私はそう自分に言い聞かせリハーサルの続きに励んだ。

ライブ当日、私たちは楽屋に入り衣装やメイクを終わらせるとすぐにステージ裏で待機することになった。リハーサルの時より、スタッフさんが慌ただしく動いているから緊張が増す……。

するとステージに美空が出てきた。会場が盛り上がるとキャプテンが、

「はい!じゃあみんな気合い入れて頑張って行きましょう!」

と声掛け、私たちの士気が高まった。その後、舞台裏に入りスタンバイする。

(なんか…緊張してきたわ)

私の気持ちを察して美玖は私の背中に手を添えてくれた。

「大丈夫?菜緒……」


「うん……ありがとう」


美玖のおかげで少し緊張が和らいだ。でも、まだ心臓がドキドキしている。私は大きく深呼吸して、心を落ち着かせた。そして、いよいよライブが始まった。

ステージに登場した瞬間会場が一気に盛り上がると、ファンのみんながペンライトを振って振ってとサインを出しているのが見えた。その瞬間さっきまでドキドキで緊張しっぱなしだったが、楽しくなってきて自然と笑顔を見せる事が出来た。

ライブ終わり、一息つきたくてペットボトルのコーヒーを飲もうとしたら

「ぅつ…!」

コーヒーではない何かの味がした。悶え苦しんでいると鈴花と美玖が笑いながらこっちにやって来た。

「「ドッキリ大成功〜!!」」


「はっ……ドッキリ?」


「そう〜笑」


と美玖が答えた。鈴花が笑いながら 

「このペットボトル、コーヒーじゃなくてすき焼きの割り下なの笑」


「ホンマしょーもな」 


呆れて何も言えなくなった時鈴花が空気を察知した。

「あはは…菜緒、ごめんね」


「何か二人怪しいなとは思っとったけど」


「ごめんなさい」


「よし、鈴花は帰ってええよ。美玖はここに残ってそこに正座しなさい」


「……はい」


「やったー!怒られなくて済む〜笑」


と鈴花は楽屋を後にしていった。

美玖に正座させると、私は説教を始めた。

「何が言いたいか分かっとる?」


「すみませんでした」


「じゃあ、何でこんな事したん?」


「……それは」


と美玖は目を逸らして下を向いた。私は小さくため息をついてから美玖に理由を聞いた。

「怒らんから言ってみ」


「……最近、菜緒が忙しいくてあまり話せなかったから寂しかった……だから…ちょっと構って欲しくてした…」


美玖は少し涙目になって私を見た。その姿が可愛くて少し気持ちが揺らいでしまったけど何とか自分の気持ちを抑えた。


「それはごめんやけど、やってええことと悪い事はあるやん。ちょっとやり過ぎや、せめて簡単な玩具とかでいいやん」


私は美玖に諭すように言った。美玖は黙り込み、しょんぼりしている。その姿を見ると何だか可哀想になってきた。

(何か……かわいそうやな)

「まぁ…ええわ。ほな、一緒に帰るで」


「…っ!いいの?」


「寂しかったんやろ?はよ、準備せな置いていくで」


「ちょっと待って〜」


と美玖は慌てて帰る準備を始めた。そんな美玖の姿を見てクスっと笑った。何だかんだで、私はいつもあの子に甘いんやな……何か、悔しい。

「菜緒何笑ってるの?行くなら早く行くよ」


「ごめんごめん笑」


そして私たちは楽屋を後にした。その後はイタズラの仕返しで美玖をくすぐって仕返しした。

私にも非はあったしこれ位で許してやろう




END




まーさん、リクエストありがとうございました


次回もリクエストをどしとし答えていきますので宜しくお願いします〜





犬八より